<勉強との両立は最初が肝心>
ほとんどの学校では、新年度スタートして約3か月。特に新中1は、今までの小学校と違った本格的な部活を始めようと思って、頑張っている人も多いと思います。
そこで、まず、新中1の部活を始めたばかりのときについてですが、この時期、特に体育系の部活の場合、小学校と違う本格的な運動になりますから、しばらくの間は体力が続かなく「学校から帰ってきたとたん、疲れてしまってすぐに寝てしまう」という事が起きやすくなります。ただ、この状況は1ヶ月経たないうちに部活に慣れてきますので、そこから通常の生活に戻ることができます。ですから、その段階から勉強との両立を計るようにして下さい。「部活を始めたばかりの頃をいつまでも気にして、部活が大変そうだな」といつまでも勉強習慣をつけずにいると、そのまま「勉強せず部活ばかりの子」になってしまいます。
また、これは中1から中3までに言える事ですが、お母さん方の頃は、それこそ夜8時近くまで部活をやっていたなどという事もありましたが、一時「あまりにも部活をやりすぎ」というクレームが強くなった事もありましたし、ただでさえ少子化で生徒が少なくなってきている現状で、あまりきつい部活をやると生徒もやめていってしまうため、毎日ヘロヘロになるまで練習するということはありませんし、時間も今ではせいぜい夏場で通常6時半くらいです。
現状では、学校の登下校の時間帯の事件などが取りざたされていたこともあり、学校側では部活や学校祭の準備の際にも終了時間はきちんと守るように取り組んでいるという話を聞いていますので、もし、毎日遅く帰宅するという場合は、部活帰りに友人とふざけながらダラダラ帰っているか、どこかで遊んで帰っている可能性が高いと思います。そういう場合は、お母さんの方でしっかり注意してあげて下さい。
ただし、部活が一時的にきつくなるときがあります。中体連前の6月と新人戦前の9月あたりです。子供達もこの試合に向けて1年間一生懸命練習してきている訳ですから、この時期だけは、少し勉強を大目に見てあげていいのではないかと思います。ただ、大目に見てあげるためには、その時期に勉強が薄くなる分、日頃の勉強はきちんとやらせていかなければなりませんね。子供さんと、その点についてもきちんとお約束しておくといいでしょう。
その約束を守らせるために一番大切なのが、周りの大人が「部活が大変だから、部活で時間をとられるから、勉強が出来ない」という事を子供の前で平気で言って、子供が「部活があるから、勉強できなくも仕方がない」という気持ちにしてしまうような空気を作ってしまわないことです。
実は、部活で勉強に支障が出るような事になるのは、上記の「中1の始めたばかり・中体連前・新人戦前」の年に数度です。それを見て一年中大変だとは思わないこと。
学習塾などに見学に行ってみると分かりますが、実際は、試合前のハードな時期でない限り、部活をやっていない子より部活をやっている方が元気が良かったりします。体を動かしている方がアドレナリンが出るのでしょうか、テンションが高くなるみたいです。それに体を動かした後の方が集中力も高くなります。別な項目で書いたことがあるのですが、小学生で休み時間に「ワー」っと騒いでいる子の方が集中力が高くなるのも、同様の理由によるものと思います。
また、受験生である中3についてですが、部活が終了した時点ですぐに勉強に取りかかってもらいたいと思っているお母さんも多いと思いますが、実は、部活と勉強を両立していない限り、すぐに勉強には取りかかれるようにならないと思っていて下さい。部活が終わったあとダラダラして勉強を全然しない子というのは、単純に「今まで勉強習慣がついていない」ためです。
別な項目でお話した「小4の算数から復習して今年受験した生徒」も部活をやっていましたが、日頃の勉強習慣がついていたため、部活終了後すぐに勉強集中型に切り替えられました。中3生は特にこの点に気をつけて下さい。
そして、全体を通してみると、自分の経験上、学力をしっかりつけている子というのは「部活のみ」「勉強のみ」ではなく「部活と勉強を両立させている子」です。「部活のみ」ではまさしく学力はつきませんが、実際は「勉強のみ」の子も体力がないため、勉強している最中、頬杖をついたり体をよじったりフラフラしたりとだらしない格好になってしまい、集中力が持たなくなってしまうタイプが多く存在しています。
実は、自分は学力低下の一端を担っているのが、全国的にみた「運動能力」「体力」の低下だと思っています。集中できない子、落ち着いて座っていられない子というのは、この体力に問題があるのではないかと考えています。
そして、さらにこの運動能力、体力の低下は「危険回避能力」の低下を意味します。実例で言うと「車の運転中の判断能力や危険回避能力の低下で事故が起きやすくなる」と言った類のものと考えるといいでしょう。学力低下が「経済的な損失を生む」と同様に体力低下が「命の危険を増やす」という事につながります。これは絶対避けなければなりません。
また、これはあくまで自分の見立てでしかないのですが、部活の時間についても今くらいが適正ではないかと思います。子供に普通に「外で遊んでおいで」と言ったら、たぶん、6時くらいまで遊んでくるでしょう。そのくらいの時間が一番いいのではないかと思います。
ゆとり教育で、学力の低い子に標準を合わせ学力低下を招いたのと同様に、体力のない子に合わせこれ以上部活の時間を削ったら、さらなる体力低下を生んでしまうでしょう。それも学力低下と同様、避けなければなりません。
また、釧路だけかも知れませんが、部活に入っていない子の一日のタイムスケジュールをみても、平均して勉強にかける時間はそんなに多くありません。部活に入っている子と同じくらいやっているという子は、まだ比較的勉強をしている方の子で、中には男の子で「学校から帰ってきたらすぐゲーム」「その後ご飯を食べてすぐゲーム」「テレビを見た後、最悪お風呂にも入らず夜中までゲーム」なんていう子も見てきています。女の子だとゲームが携帯に変わります。これでは「ひきこもり」を育てているだけのような気がします。
現状であれば、部活と勉強の両立をしている子は「7時頃帰宅」「お風呂に入ってご飯を食べて、テレビを見て9時くらい」「その後勉強」というパターンが多く、決して勉強時間がとれないということはありません。部活が終わった後塾に通っている子もたくさんいます。ちなみに、こういったタイプの子は「ゲームは小学生のときはやったけど、最近はあまりしてないよ。土日にちょっとやるくらいかな」といった「時間のけじめのついている子」が多いと思います。お母さんの理想に近いのは、この「両立している子」ではないでしょうか。掲示板に書き込みしてくれた「千葉大に合格したMさん」も、このタイプに近いと思います。
ですから、子供さんには「部活との両立」をすすめて行って下さい。部活を勉強の出来ない理由にしないこと。それだけ守ってくれれば、子供さんはしっかり両立させていくと思います。
Comments