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計算も実は「思考力」なんですよ~

<演繹法の話です>

 訳も分からず「ただ考えろ」とやれば「考える力が身につく」と思っていて、子供達を追い込んでしまっている方たちに朗報をお届けします。実は「計算」も「思考力」なんです。

 例えば、足し算を覚えたての子がする事を見てみると、指を使ったりしながら、一生懸命「2と3を合わせたら、いくつになるかな?」と考えますよね。また、約分をしようと思うと「分母と分子の両方を割り切れる数はいくつかな?」と考えます。当然、頭を使って考えているんですよね。


 そんな事を言ったら、全部考えるになっちゃうじゃん、と思っている方もいらっしゃるかも知れませんが、実は、その通りなんです。これ「演繹法」という立派な「思考」なんですよ。そして、小学生・中学生の勉強内容の9割は、この演繹法の考え方で成り立っているんですね。

 ちなみに、これより発展した思考というと、皆さん、高校で習った記憶があると思うのですが「背理法」とか「帰納法」というやつです。


 そして、この演繹法は、より高度な内容を身につけようと思うと、それまでに習ったものが「すぐにパッと出てくる〜思考を知識にすり替えておく」くらい、練習が必要な物なんですね。ですから、ドリル学習が有効、と言うことになるんです。  これも例を挙げておくと「わり算の計算」などがそれに当たります。わり算を筆算できちんと出来るようになるためには「かけ算」・「引き算」ができなくてはなりませんし、かけ算ができるようになるには、当然「足し算」が出来ていなければならないわけです。


 ただ、ある程度基本的なものに関しては、例えば「掛け算の九九」など「完全に知識にすり替わっていることが多い」ですし、その状況になった場合には「思考」を離れて「作業」になってくるんですね。このページでも過去に「作業」と分類しているものがありましたが、そういう意味なんです。


 そうなると「合同の証明」についてもそうで、合同条件に当てはまる辺や角の等しいところを考え、それがなぜ等しいかという理由も考え〜こうやって考えるところが多いので、不得意に思っている方も多いのでは? という話ですが、実際には「等しい辺や角がスラスラでてくるようになるまで練習した」という人も少ないのではないかと思うんですね。でも、実際に、合同でも基本パターンの練習をこなせば、よほど気づきづらい「ひらめき」を求めるような内容でなければ、割と簡単に出来るようになっていくんです。


 また、面白いことに、百マス計算で有名な陰山さんが言っていた内容で、この「百マス計算」できちんと計算練習を行った結果、医学部に進学する子が増えた、というものもあります。

 自分が思うに、これは、演繹法の思考手順がしっかり身についたため起きた現象ではないか、と思うのです。自分の指導の経験から言っても「複雑な計算をきちんとこなせる子は、複雑な思考にもついてくることが出来るようになる」という傾向があるのです。そのためなのか、私立中学入試問題では、最初に、かなり複雑な計算問題が出題されることが多いのですが、結局「この複雑なレベルの計算がこなせる子は、その後に習うであろう、複雑な内容にもついてくることが出来るだろう」という視点で、入試問題を作成しているのではないでしょうか。


 ということで、計算やそれに準じる内容のドリル学習は「思考ではない」と判断するのは、大きな間違いです。むしろ、この演繹法の考え方をしっかり身につけ、さらに勉強していく中で高度な演繹法の考え方を見つけ・・・それを繰り返して行くことが、小中学校に課せられた学習法である、と考えた方がいいのです。

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