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markun5

物が気持ちを変える

<持ち物について考えよう>

 自分は万年筆が好きで、授業で使っているのは、ほとんど万年筆。万年筆を使うということについては、筆記用具として使いやすいという事の他に、もう一点、大事な側面があります。それは、子供達に「字をきちんと書こう」という姿勢を身につけさせたい、ということなんですね。

 実は、子供達に万年筆を持たせて「何か書いてみなさい」とやると、大抵の子は「出来るだけ丁寧に書こう」とするんですね。筆記用具が、ちょっと高級そうだったり、良い物だったりすると、これを大事に使おう、という意識が芽生え、その結果「その持ち物を持ったときに自分の最大限の能力を出そう」と思うものなんです。万年筆について言えば、今は上手に字が書けなくても「将来、万年筆を持って格好良く字を書ける大人になりたい」とか、大人になったときに、ふと万年筆を見かけて「自分もこれからは、字をきちんと書くようにしようかな」と思ってもらえればいい訳で、いつか、どこかで、自分を鍛え直すきっかけになってくれればいい、という感覚なんです。


 そして、お父さん、お母さんが子供だったときを思い出してください。新しい消しゴムを買って持っていったとき、新しいマーカーを買ってもらったとき、少し「丁寧に字を書こう」とか「これは大事な所に使おう」なんて考えませんでしたか?

 すると、どうでしょう。字を丁寧に書こう、というのはもちろん、大事な所に使おう、と思った場合、先生の授業をきちんと聞いて「どこが大事か」を自分で判断するようになりますよね。こういう面が、子供さんを上のレベルに引っ張っていく原動力となるなる場合も少なくないんです。

 学年が変わって、新しい教科書をもらったら「よし、これで一生懸命勉強しよう」と思ったり、新しい少年団のユニフォームを着たときに「よし、これで一生懸命頑張ってレギュラーを取ろう」とか、そういう事も考えるはずなんですね。


 ところが、それとは逆もあり得るわけで、例えば、学校に遊び道具を持っていくと、それが気になって勉強に集中できなくなったり、ある講演では、不要なものが目一杯つけられた筆入れが写真で提示されて「こういう子は、授業に集中できるでしょうか」というお話があったりしました。昔は「持ち物検査」などがあって(今でもあるのかな?)、不要なものを持っていった行ったときに怒られて、理不尽な思いをした方もいらっしゃるとは思いますが、実は、こういう「物が気持ちを変える」という事は容易に起こるわけです。そして、そういう子が一人いれば、周りの子供達に与える影響もあって、どんどん、勉強離れが加速化する、という事になるわけです。「持ち物は個人の自由でしょ」と思っている方もいらっしゃると思いますが、実は、そういう訳では無いんですね。


 ですから、これからは、お父さん・お母さんも、子供さんの持ち物をきちんとチェックしてみてください。そして、学校で不要とか、これは友人に良い影響を与えないな、と思うような物を学校に持っていこうとしたら、注意してあげて欲しいと思います。

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