top of page
  • markun5

教育はグラデーション

<「徐々に」という意味>

 中3のワンワールドの教科書に gradually(グラジュアリー)と言う単語が出てきます。意味は「徐々に・だんだんと」。  もう一つ、gradation(グラデーション)と言う単語があって、これは、日本語にもなっているグラデーション。色がだんだん薄くなっていくものや、だんだんと他の色に変わっていく模様のことですよね。どちらの単語も「少しずつ変わっていく事を指す単語」なのですが、実は、教育もこの「徐々に変化していく」という事が大切になります。


 例えば、赤から青に色が変わっていくことを想像してみてください。色合いとしては、赤から赤紫、紫、青紫、そして青という変化になりますね。そして、ここで「赤」を「子供さんの出来ない部分」や「子供さんの直して欲しい部分」、「青」を「子供さんの出来る部分」や「子供さんの良い部分」として考えてみてください。そして、多分、お父さんやお母さんは、やはり、子どもさんに「青くなって欲しい」と考えている人が多いのではないかと思うのですが、もしも、赤の部分にいきなり青を足して「青になれ」と言っても、それは色が混じり合うだけですから、紫にしかなりません。ですから、青にしたいと思ったら、青を少しずつ足して、赤を少しずつ取って、というふうに、徐々に色を変化させていかなければならない、と考えて欲しいのです。


 勉強だと「出来ない所を少しずつ直していって、出来るところを少しずつ増やす」。しつけだと「悪い部分を取りながら、良いところを増やしていく」。そうやって、子供さんを少しずつ変化させていく、と考えていくのです。義務教育期間は小学校・中学校合わせて9年間もあるわけですから、毎日、少しずつ変わって行くだけで、かなり変化していくと思いますよ。

 そして、おそらく、失敗しているケースの1つは、今まで変化を求めていなかったものに、いきなり「こうなれ」「ああなれ」と急な変化を求めるものではないでしょうか。  ずっと子供さんの好きなようにやらせていて、テストの点数が悪くなったら「これではダメだ」といきなり勉強させようとしてみたり、入試直前で焦ってみたり。しつけで言うと、赤を取り去る事ばかりを言って、青い色を足さなかったり。  また、なかなか色を切り替えられない部分を無理矢理変えようとする所でも、失敗が出てくると思います。


 以前は、学校の先生でも「どうせ、やらないから」「どうせ、出来ないから」と、数学の学習内容を端折って飛ばしてしまう人がいましたし、実際に、自分、数年前に学校の補習を見学に行ったことがあるのですが、その際、問題の解き方を生徒に話し、その後、計算を端折っていきなり答えを書き、それでいて「おまえたち、こうやって教えたところで、どっちみち計算ができないもんな」と生徒の前で平気で言っていた先生がいましたが、そういう感覚の人は、赤か青の二色しかない、という考え方をしているのではないかと思います。もしも「計算が出来ない」という認識をしているならば、計算の出来ない子にきちんと計算のやり方を教えてあげるくらいの事はしたのではないかと思いますし、そうやって、徐々に生徒の「出来ないところを出来るようにしていく」という授業を心がけると思います。


 ですから、いきなり変えようとするのではなく、長い目で見て、お父さん・お母さんの教育方針に合わせて「徐々に変えていく」と言うことを心がけてみてください。そして、少しずつでも良い方向に変わっていてくれれば、それは「良いこと」と考えてください。  冒頭に書いた gradually ですが graduation の形に変わると、意味が「卒業」になります。

閲覧数:15回0件のコメント

最新記事

すべて表示

説明は一気に最後まで

子供にキチンと話を聞かせられるようになったら、次のステップは「よどみなく最後まで説明しきってしまう」こと。 例えば、お母さん方でも、経験があると思いますが、誰かと真剣に話をしていたとき、ちょっと電話が入ったのでそちらに出てから、もう一度、さっきの続きを・・・と思ったとたん、「どこまで、話しましたっけ?」と言いだし、結局、その後は、あまり話しに乗り気にならず、白けた感じで終わってしまったこと、ありま

計算は「正確に、速く」

計算は「速く正確に」と言う言葉をよく聞かされていたと思いますが、これは、非常に重要です。現在の子供たちは、「思考力を強化」などと言われ、時間に余裕を持たせられる事が多いせいか、計算のスピードが非常に遅くなってきています。 ところが、こういった単純作業のスピードアップはとても大切なことで、天才と言われた野口英世やアインシュタインなども、実験や計算のような作業の速さと正確さは、他の追随を許さなかったと

子供の雰囲気に左右されない

若手の先生にありがち(中にはベテランでも?)だと思うのですが、生徒が割と積極的で一生懸命やっているクラスでは「調子よく授業が出来る」けど、生徒が乗り気にならないクラスでは「授業があんまりパッとしない」ということになる傾向にあると思います。これは、裏を返せば単純に「子供の雰囲気に流されている」状況であると判断しましょう。 これが指導力がしっかりしている先生になると、生徒の状況に関わらず「きっちりした

記事: Blog2_Post
bottom of page