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情報と環境が学力を変える

 前のホームページで2011年に掲載した内容です。現在では、少し変わってきているところもありますから、カッコで補足をしています。小学校では少し変わってきていますが、中学校では、旧態依然という学校も多いようです。


<中3になって焦るのはなぜ?>

 釧路の場合、中3になってから塾に通い出す子が非常に多く、中1・2からきちんと勉強している子は、他の学力の高い地域と比較してかなり少ないのです(当時の北海道学力コンクール受験者数から地域別に割り出した数値をもとにしています)。もちろん、小学校から塾通いなどというとこれは極端に少なくなりますね。

 なぜそうなるのか、という理由は明らか。それは、中2までは受験に対する情報が乏しく、早い方では中3の4月の家庭訪問の時期、遅めだと中3の総合ABC学力テストのあたりになって、初めて受験の情報を知るからなのです(最近では、中2あたりから受験情報を提示している中学校が増えていますが、中1のはじめから「高校入試のシステム」について話をしている中学校は、生徒情報からでは、ほとんど無いようです)。

 そうなると、今まで「うちの子、何とか湖陵、江南くらいに行って欲しい」と思っていたのが、全然、学力が足りないという事に初めて気づき、そこで「今からでも何とかならないか」と焦りだすか、もしくは「もうしょうがないわ」と諦めてしまうのです。

 これを逆に考えると、中1の4月学力テストの段階で「この点数だと、高校で言えばどのあたりになりますよ」くらいのことをお話しておけば、少なくても高校進学について真剣に考えている人は、中1の段階で、家庭での勉強についてしっかり考えるようになるでしょう。そうすれば中3になって焦ることは無くなります。


 また、先日、武修館の中学部の(当時)副校長先生とお話する機会があったのですが、武修館では、1人1人の生徒の将来の目標をきちんと掲示しているとのことでした。高校卒業までボーっとして何をしていいか分からないと言っている子と比べると雲泥の差ですよね。そして、この武修館中学では、全国模試の平均でラ・サール中学を抜いた事があるというお話でしたから、同じ釧路市内であっても、こういう学校の学習環境の違いによって、生徒の意識や学力というのは変わってくる、ということが分かります。


 したがって、周りの大人のやるべき事は、この「情報を的確に与える」という事と「環境を改善する」という事に尽きると思います。


 それでは、さらに突っ込んで考えましょう。この情報と環境のイニシアチブを握っているのはどこでしょう。

 それは「学校と教育委員会」なのです。

 文部科学省でも、地域の教育振興の組織でもどこでも、学校・家庭・地域が協力して学力向上に努めるといったものになっていますが、この3つの中でどこが中心になって活動しなければならないかというと、それは学校とそのバックにある教育委員会なのです。ここをハッキリさせないと、結局、責任の所在が不明のまま、何も変わらず推移してしまう可能性が高いのです。

 大切なのは、教育委員会が学校に対し情報をきちんと伝える事。そして、学校は家庭に情報をきちんと伝えること。家庭や地域はそれに対し、行動を起こすこと。そして、その状況を学校や教育委員会にフィードバックすること。この循環が、学力やその他の面の向上につながっていくのです。


 入試の情報についても、早めにきちんと提示してあげるのは学校の義務。他地域と同様の高校入試の環境を作ってあげるのも教育委員会の義務として、ここを行動の起点としなければ、今後、何も変わりません。現実には、釧路は教育委員会が基金の設立や新たな部署を設けるなど、大きく動き出しました。共栄中学校や北中学校では、補習のシステムが出来てきています。これからは、旧態依然のまま、ボーっとしている学校はどこなのか、お母さん達が見極めていく時期に突入しました。こちらでも、なるだけ多くの情報を出していくつもりでいますので、それを参考にしてもらいながら、子供さんの通っている学校の状況を見極めて行って下さい。

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