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少人数制では効果は出ないことが判明

 今回も2013年に書いた内容です。完全にデータとして出されている訳ですから、未だに「クラスの少人数化を」と言っている人がいたら、こういうデータを知らないのではないかと思います。


<学力の向上に適していない>

 8月30日に文部科学省が「少人数制・能力別クラス・チーム・ティーチング」などのそれぞれの方法で、実際に学力にどのような影響があるかということを、全国学力調査の結果を用いて比較検討し、その検討結果の速報を出しました。そして、その結果では、少人数制は、すべての科目でマイナスでした。文部科学省自体、少人数制に積極的だったところですから、この結果は、ショックだったのかも知れませんね。


 さて、少人数制では、学力に効果が出ないというのは、あくまで「学校の平均」という視点で見た場合、当たり前なんです。例えば、スポーツに関して言うと、競技人口が多いスポーツほど、全体のレベルが向上しますよね。それと同じ原理で、例えば、1クラスが20人のクラスと1クラス40人のクラスの場合、当然、40人のクラスで1位を取ることの方が難しいですし、「1学年1クラスで40人の学校」の学年1位と「1学年5クラスの200人の学校」の学年1位と比較した場合、当然、人数の多いところの学年1位を取る方が圧倒的に難しく、そのため、子供達の中で自然発生的に「切磋琢磨」が起こるのです。ここが重要なんです。


 また、もう一つの問題は「教員の意識」です。実は、少人数指導で平均を上げようと思った場合、意識のもち方が難しいんです。「子供たちを常に上に引っ張っていこう」という教員でなければ平均は上げられません。

 というのは、少人数指導では、一般的に「子供たちのできないところ」にばかり目がいってしまい、その「出来ないところを出来るようにしよう」という事しか考えない教員が多くなってしまうんです。

 そうなると、この場合、教員の想定したレベルをクリアしてしまえば「この子は大丈夫」と判断され、それ以上の学習内容は与えられない、という事になりがちなんです。結果、学習内容がどんどん、低いレベルにシフトしていくことになります。

 要するに、今回の結果は、子供達に与える学習内容に関して「少人数指導を行っている教員は、低いレベルの方しか見ていない教員が多い」という事を露呈してしまっているんですね。


 現実には、このコーナーで何度か書いていますが「北海道公立高校の裁量問題は難しいからやめてくれ」と道教委に要望をあげていて、なおかつ、少人数制を進めようとしている教員がいますが、こういう教員に習うと、子供の学力が損なわれるということが分かります。そういう感覚をしている教員は、その時点で「意識のもち方」がダメなんです。

 「世界に一つだけの花」に例えると「一人一人美しく咲きましょう」なんていうのは建前で、実際に行われているのは「わずかの水と肥料しか与えずに、あとは勝手に咲け」とやられているだけなんです。

 事実、釧路では、小学校の2・3年生の漢字すら満足に書けない子が巷にあふれている状態です。「姉」と「妹」の区別がつかない子がぞろぞろいます。その程度の漢字すら満足に身に付けさせられない教師は、生徒を10人に減らそうが5人に減らそうが、極端に言えばマンツーマンであろうが、子供の学力を上げる事は出来ないんです。


 ですから、どうしても少人数がいい、と言うなら、その前にやることは「教員の資質や意識の向上」。それが出来ないなら、ある程度の生徒の人数を確保し、子供達が自然に切磋琢磨できる環境を整えてあげること方が良い、ということなんです。

 子供達の根本的な資質は幼児期に見られます。「あれなあに、これなあに」と聞いてくる好奇心。「あれが出来る、これが出来る」もしくは「あの人に勝った」という自尊心。

 「好奇心」については、人数が多いほどその情報量が増え、情報も精密になりますし、「自尊心」については、人数が多いほど「自分と同程度の競争相手」をみつけやすく、より高いレベルで「出来る・出来ない」を実感できるのです。その方が、子供達の置かれる環境としては好ましい、と言えます。


 さらに突き詰めると、人数を増やし「自尊心」「好奇心」という「内的欲求」による行動を起こさせる方が、子供の「自主性」「自立心」は早く芽生えます。逆に、人数を少なくし、親や教員からの「外的刺激」に頼る機会を増やしても、結局、人に頼ることにしかならないため、子供達の「自主性」「自立心」は芽生えづらくなるんです。

 人数を減らすのは、一部の学習内容以外では、逆効果だと思ってください。

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