これも2016年に書いた内容です。
実は、以前は小学校の宿題というと、「自主性を伸ばす」という名目で、きちんと決められたものではなく「好きな家庭学習をしておいで」という学校が多かったのですが、この記事を書いた数年前から、きちんとプリントになった宿題を出す小学校が増えてきたんですね。そして、この年の全国学力テストの結果で、全国平均を超えた科目が出てきたんです。
そういった内容を踏まえて読んでください。
<まず、机に向かう習慣を>
小学校では、毎回きちんと宿題を出して、子供達に家庭学習をやらせるところも増えてきました。となると、今度は宿題の「質」の問題になってきます。そこで、ここでは「どういうことを目的にして、どのように宿題を出せばいいか」という事について書いていきますね。
まず、今回は「小学校低学年」向けで。
そこで、「そもそも」の話なのですが「家庭学習」には「宿題」と「自主学習」の2つがあります。そして、中学・高校と進学していったときに、メインになるのは「自主学習」の方なんですね。
普通に考えてくれれば分かると思いますが、高校入試で「学校の勉強だけで合格した」とか「教科書の内容だけ勉強していたら、ちゃんと合格した」と言う場合、実は「少し下のレベルの学校」ということになって、「上位校」にはなかなか合格していかないものです。これが「大学受験」ともなれば、なおさらで、高校で勉強した内容をやっているだけで受かった、なんていう話は、ほとんどありません。ほとんど「問題集」や「参考書」を使うでしょ。
また、社会人となってからは「自分で課題を見つけ〜自分で考えて〜自分で答えを出す」という一連の流れを求められるようになってきます。そして、この流れ、家庭学習のうちの「自主学習」と同じ流れですよね。
ということは、最終的には「自主学習」が出来るように子供達を鍛えていく、という視点が大切になります。そこから逆算で、小学校のうちに何をさせるか、中学校で何をさせるか、という話になっていくんです。
そこで、小学校低学年の目標は「家で机に向かう習慣をつける」ということ。ですから、ほんのちょっとでも良いので、なるだけ毎日宿題を出す、ということになります。そして、その際には「具体的にやるものを与えること」。何でも好きなものをやっておいで、と言ったところで「何をしていいか分からない」という子がほとんど。ましてや「お母さんが勉強の面倒を最初からきちんと見て上げる」なんていうことも、共働きの家庭では結構しんどい。だから、子供さんが「すぐにサッと机に座れるように、具体的なものを用意する」のが大前提なんですね。すなわち、この段階で宿題というのは「子供達が机にサッと座れるようにして、家庭で勉強する習慣をつける〜家庭学習の入り口」ということになるんです。
当然、指導する側も「宿題〜やらなければならないもの」と「自主学習〜自分から進んでやるもの」をきちんと区別して、子供達に話をしなければなりません。「まず宿題をやって、そのあと、自分の好きな勉強をしてみよう」という形で、まず「机に座らせて、そのあと、自主学習へ促す」という指導をしていかなければならないんですね。そして、子供達がその違いを認識できるように指示をしていかなければならないんです。
こういう発想で捉えると、実は、宿題も自主学習もひとまとめにしてグチャグチャになってしまう「家庭学習ノート」という指導はあまり良いものではない、ということになります。「宿題は宿題」「自主学習は自主学習」ということで、それぞれきちんと提出させ、「やるべき宿題をやって来なかったら注意する」「自分から進んでやってきた子は誉める」という区別が必要なんです。
さて、ここまで来ると、当然「宿題は出しません」とか「好きなものをやっておいで」という指導は、小学校低学年では「机に向かう習慣をつけさせられない」もしくは「机に座りづらくしてしまう」という指導ですから、あまり良い方法とは言えません。単に学力だけの話では無く「将来につながる良い習慣」というものが身につかなくなってしまうわけですから。
また、例として、これ、本州方面の先生の話ですが、小学校2年生で「漢字を毎日3つずつ書かせる」とか「計算を10問練習させる」というような宿題を継続的に出している先生がいます。小学校の低学年であれば、こうやって、まず「家庭学習の入り口に立たせること」がその後に大きな影響を与えると思ってください。 ですから、学校の先生であれば、もう少しキッチリ「目的」「方法」「内容」について考えていかなければならない、と思います。そして、お父さん・お母さん方で、もし、学校の先生がいまいち、というケースがありましたら、家庭の方で、上記の内容に準じた「家庭学習」を進められるように心がけていってくださいね。
Comments