<「糸結びテスト」(女子)の結果より>
昭和33年に開発された、10センチの長さの糸を5分間で結んでつなぎ合わせるという糸結びテスト。手先の動きの評価が出来るとされている。
このテストによる結び目の個数の平均は、昭和33年で、大学3年生26.8個・高校1年生21.3個・中学1年生18.1個・小学5年生15.6個だったのに対し、平成7年の結果では、大学3年生18.5個・高校1年生14.4個・中学1年生12.8個・小学5年生9.8個と大幅に減少している。(産経新聞より)
さてさて、ここで気になるのは、その運動能力とそれに関連した事柄。以前から「箸の使い方」「鉛筆削り」などが話題になっていたが、結局、そういったことが子供のうちからしっかり身についていないと大人になって細々した作業が出来なくなっているという事になるのは、大学生の結果を見ても明らか。そして、こういう細々したことを行うためには、絶対的に必要なのが「集中力」。大きな事をおおざっぱにやるより細かな事を丁寧にやる方がより集中することが必要なんだけど、そういった部分にも弊害が出ているのではないかと思う。
もう一つは「出来ないことはやりたくない」ということ。すなわち「物事に取り組む意欲」が湧かなくなるということにつながる。勉強についても「出来る科目」はやるけど「出来ない科目はやりたくない」という子供さんが多いが、これと同じ状況が生活全般につながっていくのが怖い。すなわち、細かいことが出来ないから、そういった事を要求されるものはしたくないという事になり、掃除もしたくない・料理もしたくない・子供の面倒も見たくないというお母さんが大量発生する可能性につながる。それでいて、美味しいものを食べたい・きれいなところに住みたいなどと言っていると、結局お金に頼る事になるから、お金持ちと結婚したい・体を売ってでもお金を稼ぎたいという事につながることになる・・・って、あれっ? それって現在の状況と同じじゃないか?
先日、萱野茂さんが他界されたが、その萱野さんの著書の中にアイヌの結婚について書かれていて、アイヌの結婚前には男は木彫りの飾りを、女はアイヌ模様の刺繍の入った服を相手にプレゼントするのがしきたりなのだそうだ。なぜ、そのようなことをするのかというと、器用に物事をこなせることがこれからの結婚生活にとって大切なので、結婚する前にそれを確認しておこうという事らしい。そういえば、森鴎外の「舞姫」の中にも、婚約の証として、ドイツの娘から「銅板のレリーフ」を贈られたということが書いてあった。
結局、大人になってからの幸せって、こういう集中力と器用さが生んでくれるものなのかも知れませんね。
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