これも2016年の内容です。
いわゆる古文の内容なのですが、昔の人は、こういう話をストレートに書いてくるので、面白いんですよ。
<困らなければ感謝しない、ということ>
昨日、授業で使った教材の中に松平定信の「花月草紙」の1節があったので、簡単に紹介しますね。
ある医者が「後で病気になるから、今のうちにこの薬を飲んでおきなさい」と言ったのを「そんなはずがない」と信用せず飲まずに、結局病気になってしまった。ところが、その人は、言うことを聞かなかったのでその医者に行くのがためらわれ、別の医者のところに行った。そして、その医者がいろいろ治療を施し直ったところ、その人は、病気を治してくれた医者に非常に感謝した(要するに、先を見越して話をした人に感謝はしなかった)。
また、別の人は「後で病気になるから、今のうちにこの薬を飲んでおきなさい」と言われ、気が進まないものの、とりあえず飲んで、結果、病気にはならなかった。すると、その人は「ほら、元々病気になんてならなかったのさ」と思ってしまった(この人も先を見越して話をした人には感謝しなかった)。
この話、医者を「親・先生」、薬を「勉強」というふうに置き換えると、現在の学習状況に通じるものがあるような気がしますね。本当に感謝しなければいけないのは、自分を平穏無事に過ごさせてくれる人なんでしょう。だから、自分たちの仕事っていうのは、別に感謝なんかされなくても、入試や就職を迎えたときに無事に通過させてあげることなのかな、と思ったりします。
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