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  • markun5

中学校で小学校の復習をすると、負担が大きくなりますよ~

 これも2014年に書いた内容です。当時は、中学生でも小学校2年生の漢字が満足に読み書きできなかったり(釧路以外の人は「え?」と思うかも知れませんが)、小学校2年生の算数の文章問題で式が作れなかったりと、かなり酷い状況でした。

 もちろん、自分が受け持った生徒は、そこからの復習になるのですが、これが大変なんです。


<身につけるべきときに身につけるが基本>

 当たり前の話になろうかと思いますが、前回の内容の続きで、小学校内容をきちんと身に着けておかないと、中学校になってから追いつこうと思うと、子供さんの負担が大変なことになる、というお話です。

 例えば「算数の速さ」の問題や「%の問題」の場合、中1になってから方程式などで確実に出てきますし、もちろん実生活で使うことがある訳ですから、これは必ず復習が必要ですね。その復習の際、小学校内容が身についているのなら、中学校で新たに加わる分を教えるだけで充分なので、勉強の負担や宿題の負担は、中学校で習う分だけになります。

 もちろん、漢字などでも、ある程度まで身についていると、復習は中学校に入って「忘れていた分」と「新たに習う分」でお終い。そして、小学校内容が身についていると、中学校に入ってからの勉強も理解しやすいので、余計な負担がさらに軽減される、という仕組みです。 そして、もう間もなく全国学力テストの結果が全体に公表されますが、その際、どの学校が全道平均を超えていて、どの学校が全道平均に満たなかったのか、その結果と宿題の状況との照らし合わせを必ずやって欲しいと思います。

 よく、家庭環境が悪い、塾に通わせられない所得の低い所の子の学力が低いなどと言われますが、実際は塾に通ったりしても、この状況で学力が伸びない子がいるわけですから、もはや「家庭の責任」だけでは無いと思いますよ。


 ところが、小学校内容が身についていない場合、特に算数の速さや%だけならそれほど負担でも無いのですが、実際のところは、この単元が出来ない子は「割合」自体の感覚が無く、そして、さらに突き詰めると「分数や小数の計算が出来ない」「小学校の低学年の文章問題自体に難がある」というケースがほとんどで、そこまで戻って復習しなければならなくなるのが、現状だと思ってください。

 そうなると、中学校に入ってから、いったいどのくらい勉強の負担が増えるのか、という事で考えると、小学校の2年ないし3年からの復習からスタートになった場合「小学校の4年分ないし5年分の復習プラス中学校で今習っている勉強」ということになります。

 ただ、1年間でこれがこなせるかというと、それは全く無理で、例えば、%の問題でいえば、当然、中学校1年生で習った段階では全然出来ないため、小学校の勉強内容が追いついてから改めて復習〜中2、中3になってから中1の内容の勉強を始めることになります。

 さらに、大変なのは「子供達にとってはそこで初めて習う感覚に近い」ということになるので、そこから中学校の勉強を「やり直し」する感覚になるわけです。


 そうなると、当然、中2・3になってから、状況としては小学校の内容よりも難易度の高めの内容をずっと復習していかなければならないので、楽にこなせた小学校内容の復習より、量的なものは減りますが、質的なものは高くなるので、子供達の負担感はさらに高いものになります。


 上記は、算数・数学についてですが、これは当然、他の科目にも言えることで、国語で言えば「漢字」「文法」「短歌・俳句などの国語的な知識」「古文」などがそうですし、社会で言えば「都道府県の位置・県庁所在地」などもそれに当たります。


 さらに、中高一貫校がなぜ人気があるかというと、その理由の一つに「ゆとり教育で勉強の負担が高校に押しつけられてしまったため、高校だけで消化するのは難しい〜余裕のある中学校のうちにある程度負担を分散させて、後になってから詰まってくる子供達の学習負担を軽減させよう」というものがあります。理にかなっていると思いますね。

 結局、今の状況は「身につけるべきときに身につけず、学習内容を先送り」してしまっているのに近い。「先送り」ではなく「最終的に身につかなくても良い」というのが実状かも知れませんが、そのように学習内容が進んでいると考えるといいでしょう。これではきちんと勉強が出来るようになるわけがありません。

 やるべきときにきちんとやる、という姿勢を小学校の段階からきちんと身につけさせるのが、これから低学力地域に求められる事になると思います。

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