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  • markun5

「選択」という「思考」

<「漢字の勉強」で思考力を養おう>

 漢字というと、どちらかと言うと「語彙力」や「止め・はね・払い」を正しく書くための「作業」の練習を行うというイメージだったり、覚える練習を行うイメージが強いですよね。逆に考える科目は「算数」という固定観念があるせいか、漢字は「思考力を鍛えるのにも適している」という感覚はかなり薄いと思うのですが、どうでしょうか? 

 もう少し平たく言えば、算数の文章問題を解くときに、国語力をつけて意味をしっかり理解出来るようにするという、考える力を養うための補助的な、基本的な役割と考えている方が多いのではないでしょうか? ところが、漢字は、思考力の一番基本に当たる「選択」という部分に大きく関わってくるものなのです。


 例えば「おさめる」という漢字は、4つあります。「収める」「納める」「修める」「治める」ですね。そして、それぞれ使い分けが必要です。

「収める〜物をある場所に収める」

「納める〜お金を納める」

「修める〜学問を修める」

「治める〜国を治める」

というパターンです。

 そして、漢字の問題が出てきたときには、まず、どの意味に当てはまるかを「考え」て、「選択」するわけです。ですから、どれが問題の意味に当てはまるか考えるという段階で「思考」が働いているんですね。これが「選択」という「思考」なんです。

 ちなみに、これが、慣れてくると「考えなくても、知識として選べる」ようになっていき、いわゆる「思考が知識にすり替わる」という現象が起きるんですね。


 さて、ここで大事になるのは、考えるためには、その基本となる「知識」が必要ということなんです。例のように「おさめる」という漢字を正しく書くためには「おさめる」の4つの漢字が意味と一緒にすぐに頭に浮かんできて、すぐに選択出来るようになっていなければなりません。

 ところが、今の子供達は「漢字が4つ出てこない」というのが一般的。もし、漢字が4つとも出てきたとしても「意味による使い分けができない」という子が多い状態です。いわゆる「基本の知識がしっかりしていないので、考える事が出来ない」という状況です。そうなると、何も考えず「ただ、知っている漢字を書く」か「何か、こういう字を書いたような気がする」という事しか思わずに、適当な答えを書いてしまうんですね。

 そして、この感覚が算数に及ぶと、%の出し方は「何か、わり算をしたような気がする」と適当に数字をわり算して答えを出したりするんです。その計算の意味するところなどとは無縁な、むちゃくちゃな式を立てたりするようになるんですね。  要するに、思考の基本である「選択するためには、どこまでの内容を知識として持っていなければならないのか」ということが、漢字の勉強を通してしっかりと身についていないんです。

 この状態で中学校に進学するとどうなるか、というと、結局「見たことのあるものと同じ物が出てくれないと解けない」という子になってしまうんです。日頃大した勉強もしないのに、塾の「定期テスト対策」だけは一生懸命、なんていう子は、まさにこの状態です。


 さて、こういう風に考えると、今の子供の弱点が見えてきますね。たいていの子は、だいたい小学校5年生レベルの漢字から、相当怪しくなります。小学校2年生の漢字も怪しいという子もいます。こういう場合、考える力は極端に劣っています。


 ですから、同音異義語や同訓異字など、こういった漢字の選択が正しく出来るように練習することは、思考力の「選択」を鍛える事になるのです。単に字を覚えるというだけのものではないんですね。


 そして、その前の段階に当たる「漢字を覚える」という部分は「詰め込み」になります。ただし、小学生の段階では「覚えろ!」とやるのではなく、基本は「毎日の小テスト」などで、繰り返しながら、少しずつ少しずつ覚えていくというパターンになります。それでなければ、小学生の子なんて、正直、きちんと覚えまないんですよね。

 もっと言うと、小学校の教科書というのは、そのくらい、ゆったりと練習させながら、物事を覚えさせていけるように、構成されています。実際、教科書を見ると「これを1年かけてやるの?」と思うくらい、薄い教科書ですよね。


 で、実際に、子育て漫画でも「漢字のテストのおもしろ間違いをネタにしていた」り、自分は横浜の先生とメールのやりとりをしたことがあるのですが、その先生も漢字の小テストをやって「満点を取った子にはシールをあげている」というお話を聞いたことがあります。しっかり学力を上げようと思っている先生〜というよりも、それがもう普通の感覚になっている先生が多いのではないかと思いますが〜は、そういう細かな対応をしているんです。


 ところが、実は、自分は、釧路に来てから「漢字の小テスト」が行われているという話を聞いたことがありません。どの地域でもやっていることだと思うのですが、不思議ですよね。この状況では「思考」の前段階の「知識」の部分から、アウトになってしまいます。思考力が育たないのは当然、と言った状況です。

 みなさんの学校の担任は、どうですか?

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