<「しくみ理解」か「場合分け」か>
ちょっと小難しい話になりますが、いわゆる「勉強内容を覚える」という方法についての話です。
さて、勉強内容を覚えるという場合、教科書をまるまるすべて暗記できてしまうという特殊な記憶力のある人を除いて考えると、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは「しくみを理解して、共通部分を把握し、それで記憶内容を網羅してしまう」というタイプ。もう一つは「一つ一つの場合に分けて、項目別に覚えていく」というタイプです。
実際にどういうことかを確認するために、ここでは最近理科で復活した「月の運行」を例に取ってお話しします。
月の運行では、「右側が光っていると上弦の月、左側が光っていると下弦の月」「三日月は日没直後、西の空に見える」「満月は日没直後東の空に見え、午前0時で南中(真南に来る)する」といった内容を覚えなければなりません。 この際、上記のように項目別に分け、一つ一つを覚えていくタイプを「場合分けで覚えるタイプ」といいます。それに対し、月や地球の自転や公転のしくみを覚え、その設問の状況に合わせて解答を導いてしまうタイプを「しくみを理解するタイプ」と考えてください。
この覚えるタイプには、それぞれメリット、デメリットがあります。 まず、「しくみを理解するタイプ」は、いわゆる「理系」タイプで、この覚え方をしておくと、余計な手間をかけずに幅の広い内容に対応できるようになります。また、多少の変化球問題にも対応できます。ただ、社会科に関しては圧倒的に「場合分け」でなければ覚えられない内容が多いため、社会科の対応力に欠けます。 それに対し「場合分けタイプ」は、いわゆる「文系」タイプで、頭から記憶を引き出すだけですから、設問に対し素早い対応が出来るようになります。また、どの科目でも対応できます。ただ、記憶にないものに関しては全く対応ができず、特に変化球問題に弱いのがこのタイプです。 自分たちが受け持っている生徒が「理系」か「文系」かを判断する基準が、この覚え方のタイプです。
そして、どちらが大事か、というと、それは「どちらも大事」としか言えません。ただし、子供さんの傾向を掴んでおけば、勉強に対するアドバイスや足りない部分の指摘をしやすいと思います。「うちの子、社会が嫌いで全然ダメなんです」とか「うちの子、理科・数学が苦手で・・・」と言うお母さんが多いのですが、この覚え方のタイプで足りない方を鍛えてあげると効果が出てきます。 また、勉強を教える際には、どちらのタイプで教えたらいいかを判断し、適切な方を選択すると学力が上がってきます。 そして、一斉授業を行っている先生の場合、どちらの子供にも対応出来るように授業を構築して教えなければなりませんね。
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