ここからは、2013年に書いた内容になります。
前回アップした話とかぶるところもあるのですが、中心は「小学校英語」についての内容です。
<アルファベットを覚えさせると「英語嫌い」になる?>
以前、別の項目でこんな事を書きました。
~これを初めて聞いたという方はみんなビックリするのですが、英語には、詰まる音の小さい「ッ」の発音はありません。例えば、「apple」の発音をそれまで「アップル」と覚えていたのが、実際は「アポー」に聞こえる事が分かり、ジャイアント馬場のまねをして「apple」を「アポー」と言って遊んでいた事はありませんか? でも、実際に「アポー」の方が発音が近いんですね。 だから、ここで出てくる「Good」の発音もカタカナで「グッド」ではないんです。 では、どういう発音になるかというと、これも脇の下の汗や匂いを押さえるスプレーのCMで、白衣を着たおばさんが、女性の脇の下の匂いを嗅いで、○のついたカードを上げて「Good」と言っていたのを覚えていないでしょうか? このときの発音は「グッド」ではなく「グード」と伸ばした音に近かったのですが。
ローマ字では「a i u e o(あ・い・う・え・お)」が母音、「ka ki ku ke ko(か・き・く・け・こ)」の「k」や「sa si su se so(さ・し・す・せ・そvの「s」sに当たるものが子音ということで習いましたよね。そして、日本語はすべての発音で必ず母音が入るのですが、これは世界的に見ても珍しい発音で、大抵の外国語は子音で終わる単語や、子音がつながって発音されるという単語を使うのです。その中でも特に日本人が弱いのは、最後が子音で終わる単語なんですね。 ちなみに、日本人がこの末尾子音に弱い、という例をもう一つ。 例えば、韓国語では米・ごはんの事を「パプ」と言います。末尾が子音なのでローマ字表記すると「pap」なんですね。ところが、日本人は最後の「p」の発音が聞き取れないために「ビビンバ」「クッパ」となるんです。これ正確には、最後が「ごはん」という意味で「ビビン・パプ」「クッ・パプ」なんです。こんなことも知っておくと面白いですよね。
ということで、ここでは2点、「ッ」の発音が無いということと、単語の最後が子音で終わるものに注意しましょうということを挙げておきます~
それで、なぜ、ここでこのことを持ち出して来たのかというと、実は、今、小学校で英語を習い始めていますが、こういう発音の違いが理解できないため、子供達の中には「ぼく、外人と話をするのが嫌い」と言い出している子が出てきているということなんです。で、その子は、むしろ「アルファベットで単語を書く方が好き」とまで言っているんですね。ところが、文部科学省サイドでは「無理矢理アルファベットを覚えさせると英語が嫌いになる可能性がある」として、アルファベットは教えなくても可という事にしているんです。なんか、変だと思いませんか?
そこで、ちょっと原点回帰で、幼児はどういう状況で物事を好きになっていくかを考えてみましょう。
そこで、言葉を覚えたての子供さんの状況を思い出したり、想像してみてください。最初は絵本を見て「これはキリンさん、これはゾウさん」というように、単語を覚えて、それが答えられるようになって、お父さん・お母さんから「良くできたね〜」と誉められて、いろいろな単語を覚えて行きます。それがさらに進んでいくと、ひらがな・カタカナを覚えて行きます。字を覚えるときも、単語を覚えるときのように、一つ一つ読み方を覚えていきます。このときに、本やカードなどにうまく触れさせておくと、それほど抵抗無く読み方を覚えて行きますが、そういう習慣づけが無い場合は、ちょっと手間取りますね。でも、自力で読めるようになると「あれは、○○って書いてある」というように、割と得意になって字を読んでいくようになります。ひらがなの書きも同様ですね。書く練習をするときには抵抗のあった子も、実際に書けるようになると、自分からお手紙を書いたりするようになります。
さて、ここで何を言いたいかというと、この年齢の子供さんは、覚えさせる下地がしっかりしていれば、覚えることにはそれほど抵抗はない、ということ。また、覚えるときに多少抵抗があっても、出来るようになってしまえば、それほど嫌がる事無く、物事を進められるようになる、ということなんです。そして、ここをさらに突っ込んで考えると、結局「覚えること」そのものに抵抗があるのではなく、子供さんに自身が「出来る・出来ない」を基準にして、「出来ないこと」に抵抗感を感じているということなんです。
そして、これは運動などにも言えることで「逆上がり」がスラスラ出来る子は鉄棒をするのに抵抗なく、むしろ「鉄棒が好き」という感覚になりやすいと思いますし、逆に「逆上がりが出来ない子」は鉄棒が嫌いという感覚になりやすいでしょう。結局、子供の「好き・嫌い」の判断は、「出来る・出来ない」に大きく左右されるという事になります。
そして、中学・高校と進んで行くにしたがって、覚える量が多くなり、今までの「覚えるためにしてきたこと~例えば、漢字を書いて覚えるなど」の感覚で物事が進められなくなる子が増えていくため、結局、覚える事が勉強を嫌いにするという認識がついてしまったのではないかと思っています。
ですが、基本的には「小学4年生」くらいまでのレベルであれば、覚える量はそれほど多いわけではないですから、単純に読み書き計算に関しては、反復練習を「ノートを取っていくこと」や「ノートにきちんと計算を書くこと」にすり替えて、通常の授業の中でしっかり行っていくだけでかなり自然な感覚で身につけていくことができるはずです。それを「子供達の負担を減らすように、あらかじめ必要な部分が印刷されているプリント」で授業を進めたり、プリントにある穴埋めをちょっとやってしまえば、それでお終い、というような事を行っていると、それは最終的に子供のためになりません。
ですから、子供達を勉強嫌いにしないためには、出来ることを繰り返し練習しながら、抵抗無く新しいことを身につけられるような環境を整えていくこと。そのために必要な負荷を子供達に与えていくこと。これが必要です。
そして、冒頭に書いた「英語」に関して言えば、少なくても「英語にないこと」を教えてしまったり、英語と日本語の違いをきちんと認識させる事が必要でしょう。小さな「ッ」に関して言えば、お母さんが熱心に「ドッグ、ドッグ」と誤った発音を教えてしまうと実際の英語との乖離が進んでしまうため、かえって子供さんが英語嫌いになってしまう可能性あり、と思ってくれればいいでしょうか。
ちなみに、現在の幼児向けの本に書かれている英語は、イヌは「ドグ(もしくはドーグ)」、リンゴは「アプル」と書かれています。英語の教え方自体も、以前とは大きく変わってきていますよ。
Comments