これも2012年に書いた内容です。姪っ子も高校生になりました。
<「言葉」が「精神」の成長を促す>
先日、小学校1年生の姪っ子のバトンの発表会があって、見に行ってきました。 会場に着いて、辺りを見回すと、姪っ子が可愛らしい衣装を着て、何か学校のお友達とお話していました。そこで、近づいていって、名前を呼ぶと、 「あ、おじちゃんだ」。 すると、姪っ子と一緒に話していた子が 「おじちゃんって、誰さ?」 と、姪っ子に聞いてくるんですね。 「おじちゃんは、おじちゃんだよ」 「だから、おじちゃんって誰さ?」 しばらく同じような押し問答があったあと、姪っ子が 「おじちゃんは、おとうさんのお兄さんなんだよ〜」 「え〜〜〜?」
最近は少子化と言われますが、それと同時に親戚の人数も少なくなっていますね。だから、こうした人間の関係を表す言葉を知らない子が増えてきていて、中学生でも「いとこ」を知らないという子がいたりします。
また、これもちょっと面白い話なのですが、欧米では「肩こり」という言葉がありません。ですから、欧米人が「肩こり」の状態になっても「疲れた」とか、少し肩こりが強くなって痛みがあるようなら「肩が痛い」という言葉でしか表現しないのだそうです。 ところが、そういう人たちが日本に来て「肩こり」という言葉を覚えたとたんに「肩が凝った」と言い出して、マッサージをしてもらうようになるんだそうです。
ですから、言葉を知っていると、人間関係などが理解出来るようになったり、生活習慣が変わったりする訳で、そう考えると「言葉」というものは、その人の行動などに大きく影響しているということが分かります。
幼児教育内容で「言葉が早い」「言葉が遅い」ということもよく言われますが、これも非常に大事なことで、例えば、自分の欲しいオモチャがあるが、手が届かず自力では取れないという状況を考えると、言葉が話せる子は「おかあさん、あれ、取って」と言って取ってもらう訳で、これは全く心配ありません。ところが言葉が遅いと、どうしていいか分からず、ただ「泣き叫ぶ」だけ。そして、自分の要求が通るまでひたすら泣き叫ぶという事になります。
と言うことは、言葉が遅い子は、自分の思い通りにならない事があるとすぐに癇癪を起こす癖がついてしまう可能性があり、幼児教育を研究している方の中では、非常に重要な問題であるという認識になっています。 で、実際は、まだ、その因果関係が確立していませんが、おそらく「すぐにキレる子」が出てくる背景には、この「言葉が遅い」ということが関係しているのではないか、という事が言われています。
自分の場合で言うと、みんなで会食に行って「そろそろ帰ろうか」というときに、皿にまだ料理が残っていると、ついつい残すのが「もったいない」と思うんですね。お金を払っているからというよりも、それが捨てられてしまうのが「もったいない」という感覚ですね。で、よくよく考えると、子供のときに「もったいないから、残さず食べなさい」としょっちゅう言われていました。ですから、こういう精神も、小さなときに聞かされた言葉でできあがった物なんでしょうね。
で、これを今の子供達に置き換えて考えてみると、例えば「面倒くさい」という言葉がありますね。これをまだ小さい子供のうちから聞いてしまうと、何でも「面倒くさい」になって、物事をきちんとやらない子になるんだろうな、と思います。また、自分は「中学生になるまで面倒くさいという言葉を知らなかった」という子に会った事があるのですが、その子は、何でも一生懸命にやる子でした。 そして、自分の周りにいる大人を見ていても、前向きで物事を一生懸命に取り組んでいる人は「面倒くさい」と絶対に言いません。そして、非常に信頼度の高い人が多いですね。
そして、この「面倒くさい」だけではないんですが、結局、子供のうちにどういう言葉を聞かせるか、ということによって、その子の将来の大きな流れを作るように思われるのです。そして、子供が話した言葉のうち、周りの大人が「どの言葉を認めるか」という事によっても、その子の状況が大きく変化すると思うのです。
というのは、もし、子供が「言い訳」の言葉を覚えたとしても、その言葉を聞いた周りの大人の反応によって、子供の姿勢が変わる訳で、「言い訳」を簡単に認める大人がいれば、それを平気でどこでも使う子供になっていき、逆に「言い訳」を認めない大人が側にいれば、子供はだんだん言い訳をしなくなって行きます。
そして、お父さん・お母さんもそうですが、特に学校の先生にお願いしたいのは、子供のどの言葉を認めるかという部分にもっと気を使って欲しいということなんです。子供に嫌われたくないとか、子供が言うことを聞かなくなったら困るということで、簡単に「わがまま言葉」を認めてしまうと、後々、その子がどんどん崩れて行ってしまいます。今の子供は忍耐力・精神力がない、などと言われていますが、結局はこの部分が原因ではないかという気がしています。
このように、どの言葉を覚えるか、どの言葉を周りの大人が認めるか、というこの2点が子供の成長には非常に大切で、おそらくは、このことを知っていた昔の人が「言霊(ことだま)」という言葉を使って、言葉の使い方をコントロールしていたのではないかと思うのです。単純に言うと「良い言葉を使うと良いことが起きる」「悪い言葉を使うと悪い事が起きる」というやつですね。
さらにもう一つ。 自分が教えていた子の中に、語彙力が非常に乏しい子がいて、漢字検定の9級から始めたのですが、そうすると、最初、お母さんから「あんた、何言っているんだか分からない」といわれていた子が、漢字検定が5級あたりまでこなせるようになって、普通に話が出きるようになり、漢字検定3級に合格した辺りから、社会科の教科書に書いてある文章の意味が分かると言って、社会のテストで満点を取ってきたこともあります。
今の子供達、全体的に「幼い」ような気がするのですが、それが「言葉」を覚える事によって、精神的に大きな成長を遂げるんですね。それで、自分は漢字検定ついて、このページで何度もしつこくお話しているんです。
上記の内容は「言霊」などの話で聞いている人も多いとは思いますが、それを自分の身の回りや自分自身で実感しておくと、より、細かく気を遣うようになるのではないかと思います。 「子供の精神は言葉を食べて成長」します。なるだけ、良い物をたくさん食べさせてあげてください。
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