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markun5

「私立中学」と「教科書内容」

 これも2017年に書いた内容です。

 いわゆる「中学受験」をして、そのあと私立中学でどのような勉強をするか、ということを知っておくと、公立の学校でどのくらいのことをしなければならないか、ということもわかってくると思います。


<ゆとり教育から大きく差が開きました>

 釧路は「私立中学」と言っても、まだメジャーな存在ではないと思うので、情報もあまりないだろうと思います。そこで、ここでは、主に教科書内容などの「使っている教材の内容」という事を中心にお話ししていきますね。


 それで、これは、知っている方も多いと思うのですが、私立中学受験が4人に1人、というくらいにメジャーな事になっていった時期というのは、いわゆる「ゆとり教育」が導入されたときなんですね。この時に話題になったのが「教科書内容3割削減」です。覚えている方も多いと思いますが「円周率を3で扱う」とか。でも、マスコミはこういう刺激的な見出しで扱える部分を取り上げるため、本当の「まずいところ」については、あまり認識がないと思うんです。

 実は、この「ゆとり教育」で一番まずかったところは「レベルの上の内容を扱ってはいけません」と、教える内容に「上限」をつけたことだったんです。例えば「かけ算は2桁×2桁まで」。当然、3桁になる3.14は扱えませんから、それで「円周率は約3として扱う」ということになったんですね。


 それで、このときに反発したのが私立中学で、こんなことをやっていたんでは、上位校に子供達を入れることが出来なくなってしまいます。それで、私立中学は私立中学で、ゆとり以前から扱っていた「自前の教材」を、一部改定などはあったと思いますが、それでもほとんどそのままの内容で踏襲していったんです。結果、私立中学は、ゆとり以前の教科書内容にプラスαのレベルを保っていったと考えてください。  要するに「ゆとり以前の教科書内容を守っていったのは、実は私立中学の方」と考えていていいでしょう。


 そして、その結果は言うまでもありません。公立の学力不振が顕著になり、上位校に行くには私立中学を受験しておかなければならないよ、という話になり、私立受験組が非常に増えていったんです。


 それで、釧路からも何人か、首都圏の私立中学に行った子がいるので、その子達の話をしておきますが、例えば、数学などは学校で用意したプリントをまとめてファイルした冊子を与えられ、それで授業をしたり、そこから宿題が出たりするんですね。

 社会科の内容などは、もうちょっと面白くて、ゆとり教育が始まったばかりの頃の社会の教科書って、不平等条約の撤廃に失敗した岩倉具視使節団の話は載っていても、不平等条約の撤廃に成功した陸奥宗光や小村寿太郎の名前が削除されていたんです。ところが、私立中学では、それまで通り、成功した2人もちゃんと教えているんですね。要するに「ゆとり教科書というのは、失敗した人間は載せても成功した人間は載せない」というおかしな教科書だったんですよ。そういう「おかしな所はおかしい」としてきちんとしたことを教えていたのは、実は私立中学の方だったりします。

 理科も、例えば消化酵素については、ゆとりの頃は、公立の教科書だと、せいぜい唾液に含まれるアミラーゼくらい。ところが私立中学ではリパーゼ・マルターゼまでやるわけで、結果、理科・社会では、覚えなければならない内容が、公立と比べて遙かに多いですし、数学の宿題に関しても、この辺では考えられないくらい、ものすごく多いわけです。


 じゃあ、そういう環境で育った子供達がどうなったか、というと、例えば、釧路にいた頃は「この子、湖陵はちょっと厳しいかも」くらいの学力だった子が、1年くらい私立中学で勉強してきたら「湖陵は余裕。このまま行けば、理数科にいけるようになるかも」くらいになって来るんですね。

 ある子は、親元を離れて寮生活だったんですが、授業が終わって晩ご飯を食べて、その後は2時間くらい自習室に缶詰にされて、勉強するんです。当然、質問に答えられるように先生が常駐していますし、自習室の勉強が終わり自分の部屋に戻ってからも、友達同士で教え合ったりしていたそうです。それで、生徒に聞いてみると「最初は、自習室の勉強は、少し辛かったけど、すこししたら、当たり前になって慣れた」ということなんですね。要するに、完全に習慣化してしまっているわけで、そうなると、辛いとか苦しいとかじゃなく、当たり前の事になるんです。そして、究極の話が「だって、授業だけ聞いていても、それだけじゃ勉強が出来るようにならないもん」ということだったんですね。


 もちろん、私立中学もピンからキリまであるので、すべてがこういう状況になるところではないとは思いますが、それでも、釧路にいたときとは、勉強に関する意識が激変するんですね。それが、私立中学だと思ってくれればいいです。以前、武修館で夏休みの宿題がバインダー1冊だ、と書いたことがありますが、それが当たり前で、少なくてもある程度名前の知れた大学に行きたいと思ったなら、そのくらいの事をやらないと受からないよ、ということです。特に学力が低めの釧路あたりだと、それにプラスαが必要、くらいに考えておいた方がいいでしょう。

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