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「理解」を「知識」にすり替える

 子供が学力を上げていく過程で大切になるのが、社会科で出てくる用語や英単語などの「知識」とそれをしっかり使いこなしていくための「理解力」。

 ところが、いざ教えてみると、子供はなかなか理解できず、テスト前に無理矢理覚え込んで対応しようとする子も多い。

 「数学は暗記科目だ」などと言う人もいるようだが、これは、この「本来理解して進めるべき内容」を「知識に置き換える」という方法を採っているからなのだ。


 一部の方はこれを称して「詰め込み教育」などと批判しているようだが、長い目で見ると、たとえ習った時点で理解できなかったとしても「その内容を覚えている子」と「そうでない子」の差は、後に明らかになる。なぜかと言うと、無理矢理覚えた内容でも使っているうちに内容が理解出来てくることが多いからなのだ。

 「小学校のときは、なんでこんな問題で悩んでいたんだろう」と思ったりする事もあると思うが、これは、時間が経つにつれ、理解するのに十分な知識や思考力が次第に養われてきて、子供のときに分からなかった事が、ある程度の年齢に達すると理解できるようになるという事なのだ。

 例を挙げると、中学校の数学で言うと「平方根」の計算あたりがこれにあたる。ルートの意味が分からなくても、とりあえず計算できるようにしておくと、後にその意味を理解する場合が多い。しかし、計算が出来るようになっていなければ、その計算のしくみと本質的な意味合いとの接点を探ることが出来ず、結局理解出来なくなってしまう。


 だから、「現時点で理解できないものでも、とりあえず覚えておく」ということは非常に大切な事なのだ。

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