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  • markun5

「朗読」させましょう

 これも2017年に書いた内容です。

 前回は「夏目漱石を読もう」という内容でしたから、今回は、そういった文学的な文章を読むときに気を付けること、と思って読んでください。


<本を読めるようになるため、まず、最初にやること>

 「立て板に水」のように、棒読みでもスラスラ読める子と、ゆっくりでもいいから、きちんと状況を考えて、感情を込めて読む子と、どちらが、国語が出来るようになるでしょう?   これ、正解は、後者の「状況を考えて、感情を込められる子」なんです。


 英語で考えても同じです。「教科書を読みなさい」と言われて単語を読むだけなら出来ても、訳しなさいと言われると訳が出来ない子って多いですよね。結局、いくら読めたって、言葉の意味が分からなければ、文章の意味が分からないんですよ。


 それで、これはかなり昔の話なんですが、戦前の学校の授業と言うと、小学校では、国語は「読み・書き」が中心だったようなんですね。そして、直接「国語の時間」というふうにまとめた言い方よりも、「書き方の時間」とか「読み方の時間」と、学習内容を分けて言っていたようなんです。当時の子供向けの小説でも「書き方の時間で先生に誉められた」とか「明日の朗読の時間でうまく読めるように教科書を読んで練習した」なんていう表現が結構出て来るんですね。  そして、終戦当時、GHQが日本人の識字能力を検査してみて、その高さに驚いた、という話もあります。


 そして、その当時の「読み方」についてなんですが、つっかからずに早口で「スラスラ読める」というのは、決して「いい読み方」として扱っていないんです。今、PTAのボランティア活動などで「絵本の読み聞かせ」などをやっているお母さん方もいらっしゃると思いますが、そのように「聞いている他の人がそのお話の内容を把握できるように、情景を想像できるような、感情を想像できるような、それが相手に伝わるような読み方」が「いい読み方」とされているんですね。

 すなわち、読んでいる人が「その文章の内容を理解して読む」という事が大切だ、という話なんですよ。そういう読み方がいわゆる「朗読」なんです。


 そういう視点で見たときに、今、学校の授業ってどうなんだろう? ということなんですね。たぶん、とりあえず読めたら「はい、良く読めました〜」と誉められてお終いなんじゃないかな、という気がするんですが、どうでしょう? 「ここは、こういう場面だから、こういう気持ちでよみましょう」みたいな話って、出てきているんでしょうか? 

 そして、「次回の授業では、教科書をみんなで声を出して朗読をしますから、本を読む練習をしてきてください」という指示を出している先生って、どのくらいいるんでしょうね? 

 小学校低学年であれば、こうやって「本を読む練習」が、そのまま「予習の習慣づけ」になって来るわけですし、内容が把握出来ていれば、助詞の「て・に・を・は」の読み間違いなども減りますし、ましてや「漢字の読めない子」というのも減ってきます。それでも、読めない子が出てきたら、帰りにちょっと残して「読む練習」をさせてもいいじゃないですか。

 こうやって、小学校の時にしっかり「朗読」として、国語の読み方を練習していれば、中学校になっても、小学校レベルの漢字が読めない、という子は相当数減ってくるはずです。

 また、辞書の引き方を習った後であれば「どういう気持ちで読めばいいか」と言うことを考えるようになったときに、きちんと辞書で言葉を調べる習慣もつけられるでしょう。この辺は「学校の先生の指示1つ」でいくらでも変わるところです。  そして、内容を把握しながら読むようになると、当然、本の面白さが分かってきますから、読書に積極的な子供も増えるはずですし、算数の文章問題を読んでも、きちんと「意味を把握しながら考える事が出来る」ようになってきますね。


 最近「速読」なんていう話がありますが、いたずらにスピードを上げる必要などありません。本を読むスピードは「個人差」程度に考えておけばいいんです。大事なのは「内容を把握してきちんと読む」ということ。「私、読むの遅いんだよね〜」と言う人もいますが、それでも「内容を上っ面でしか把握せず、ただ、早いだけ」という読み方よりはずっとましです。  ですから、機会があったら、子供さんに「朗読」させてみてください。お母さんが本を見なくても内容が把握できるような読み方をしていてくれればオーケーです。逆に、子供さんが早口でスラスラ読んだところで、お母さんが内容を把握できないようだったら、それはダメ。そこを基準にするといいでしょう。

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