これも2014年に書いた内容です。
ラジオと言うのは、当時、自分たちが担当させていたただいていた「エフエムくしろ」の某番組のあるコーナーのことです。
<ラジオで語り尽くせなかった部分>
実は、自分がラジオで話し切れなかった部分があって、これを知っていてラジオを聞いてくだされば、内容が納得できると思いますので、ここでフォローをしておこうと思います。
学習指導であろうが、部活指導であろうが、先生がきちんと教えておかなければならない「指導が必要な部分」と、ここは生徒が自力で出来るから、生徒自身にやらせておこうという「自力で克服する部分」というのが存在します。
そして、自力で克服する部分については、なるだけ先生が手をかけずに生徒にやらせる。そのかわり指導が必要な部分はしっかりと指導する。このメリハリが大切になります。
例えば、野球部で言うと、最初は「基礎体力作り」の方法を教えて、「ランニングの仕方」「素振りの仕方」などを顧問の先生自身がチェックして、きちんと出来るようになったら、後は生徒に「自分で練習してくること」とします。そして、全員が揃った部活の時間では、ウォーミングアップのあと、すぐに様々なローテーションの練習に時間を割き、個人練習可能な時間を残して部活を終了させる。「あとは、おまえ達、自分でやってこい」なんです。
勉強内容で言うと「漢字の書き取り」「英単語の練習」については、あらかじめ必要な内容を教え、出題するものをあらかじめ教えておいて、自力で練習させ、学校で「漢字テスト」などを行い、きちんと身につけてきたかどうかを確認する。計算については、計算方法を教え、自力で出来るようになったと思われる時期を見計らって、宿題などを出して行く。そうやって出来た時間の余裕を使って、学校では難易度の高い内容に触れていく。
大雑把に言うとこういう流れでしょうか。そうやって、先生が教えてあげなければならない部分と生徒が自分でやってくる部分をきちんと分けて行くことが必要なんです。そして、自力でできる部分はなるだけ生徒に「自力で克服させる」こと。 そして、この流れをうまく作ると、例えば、お父さん・お母さんが理想としている「文武両道」が可能になるんです。
部活が終わって学校から帰ってきたら、自宅の前で素振りをやったり自宅近くをランニングしたり。そして、ご飯を食べてお風呂に入って、今度は家庭学習を行う。効率的な時間の使い方で、部活も勉強もこなせるようになる。お父さん・お母さんの目で見ても「うちの子、部活も勉強も両方頑張っているな」ということが分かるようになるんですね。
これを全部学校で見ていこうとするとどうしても無理がある。部活で基本の内容までこなしていこうとすると部活の拘束時間が非常に長くなって、結果、勉強に支障がでる。勉強を全部学校で見ていこうとすると、時間が足りなくなり難易度の高い問題に触れられなくなっていく。「裁量問題に対応できません」が当たり前の感覚の教員は、この「指導」と「自力」の区別がついていないんですね。
さて、自分は過去に「問題解決学習」に触れてきましたが、否定的なことをずっと書いてきたため、「問題解決学習」を全否定しているように思われるかも知れませんが、自分は「全否定」ではないんです。もちろん、生徒が自力で考えることは大切なんです。当然、指導によって「問題」を考えられる状況まで生徒を鍛えておいたあとで行う分に関しては全く問題ありません。
ただ、上記のように「指導が必要な部分」と「生徒が自力で行える部分」というのがあって、今、学校で行われている「問題解決学習」というのは「指導が必要な部分」も生徒に「自力でやれ」と丸投げなんですね。これではかえって学力を壊してしまいます。これからおそらく話題になるであろう「反転授業」もその類です。
ですから、今の段階では、自力で出来る「基礎基本の反復練習」や漢字・単語などの「基礎知識習得」は、なるだけ家庭でしっかり家庭で出来るようにしてあげてください。小学校の段階では「漢字ドリル」「計算ドリル」などで練習ということで、構いません。 そして、指導者にありがちな「すべて自分が面倒を見る」というのは、一見良さそうですが、実はあまり良い指導ではない〜部活であっても勉強であっても〜ということなんです。ある新聞に、先生の中には「宿題にしたら負け」のような感覚の先生もいる、ということが書いてありましたが、これがあまり良いことではない、というのも分かると思います。
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