これも、2012年に書いた内容で、本文中に出てくる話は2011年のデータを元にしたお話です。
このときは「100人の40%は何人ですか?」という問題の正答率が、小学校6年生の全国学力テストの全道平均で34.2%でした。3人に1人しかできない割合です。
現在でも、様々な形で学力調査を行っていますから、その数字をしっかり見て、今の子供たちの状況がどうなっているのかを把握できるようにしていてください。
<以下、本文>
お母さん方から出てくる話です。 「学校では、宿題を出しませんから、勉強させたければ市販のドリルなどを家庭でやってください」 と言われた。 「復習などの勉強には対応できません。もし、塾に通わせるなら、その方がいいかも知れませんね」 と言われた。 「高校入試の裁量問題には、塾に行かなきゃ対応できないよ」
釧路では、小学校3年生の学力テストで「6センチの3倍」の問題に答えられるのは、約半数しかいません。全道平均で見ても、小学校6年生で「100人の40%は何人ですか」の問題を答えられるのは3人に1人。この手の問題でさえ、出来るようになるためには、塾に行かなきゃならない状態。正直「学力もお金で買う時代」と言った方が良いかも知れませんね。
でも「家計に余裕がないから塾に通わせられない。だから、勉強できるようにならない」と嘆くお母さん。
でも「勉強できるようになりたかったら塾に行け」というのは、本末転倒じゃないんですかね。以前は「塾になんか行かなくても、俺が面倒見てやる」と放課後補習を熱心にやった先生がいました。「高専はテストの問題が難しいから、受験希望の生徒は放課後に先生が勉強をみてやるぞ」と言ってくれた先生がいました。こういう先生って、過去の遺物なんでしょうか?
結局、お金をかけずに勉強が出来るようになるには、学校できちんと勉強を教えてくれること。かけ算の九九が出来ない生徒は放課後残して練習させれば良いわけですし、かけ算がちゃんとできれば「6センチの3倍」はちゃんと出来るようになります。宿題をちゃんと出して、家で小数の計算の練習をきちんとさせれば「%」だって、だんだん理解出来るようになっていきます。
で、こういう話は、あまり良い話ではないのですが、塾が「金もうけ」をしようと思ったら、実は、今のまま「学校がダメ」でいてくれた方が好都合なんです。学校の教師が「勉強できるようになりたかったら塾に行って下さい」「裁量問題を扱う高校を受験したいのであれば塾に行って下さい」「進路指導は、塾の方がちゃんとしたデータを持っていますから、塾の先生と相談してください」と言ってくれている方が都合がいいんです。それだけ塾に来てくれますから。
でも、塾の先生でも、少しでも「情」があれば、自分の受け持った生徒が将来苦しい思いをして欲しくはない、と思うんです。そして、実際、今、塾に入ってくる生徒の学力状況を見て「何でここまで酷い状況を放っておいたの」と思うんです。どういう状況になっているかは「6センチの3倍」が出来ない子が、そのまま小学校で授業を受けて、そして中学生になっていった場合、中3の段階でどうなっているかは、想像に難くないと思います。そういう子が半数なんです。当然、このままでは就職が難しいと思いますよ。
たぶん、お父さん・お母さんの頃の学習塾と言えば、将来医者などを目指していて学校の勉強だけじゃ足りないという子がもっと上のレベルの勉強をしたい、その逆で、学校の勉強に全くついていけなくなっている子が学校の勉強を理解できるように、という目的で塾に通わせていたんじゃないでしょうか。自分は、塾はそういう存在であることがノーマルな状態だと思っています。
そして、「情」の話で行けば、もちろん、塾だけではありません。学校の先生だって「情」があるんです。おそらく、子供達を何とかしたいと思っている先生が過半数〜いや、それどころじゃなく、7割・8割じゃないでしょうか。
だけど、某校長先生がぼやいてました。 「放課後に補習をやろうと言った場合、たいていの先生は賛成してくれるんです。ただ、一部の先生が労働強化だのなんだのとうるさくて、結局、全部ダメにされてしまうんですよ」
現在、放課後補習を行っている小学校・中学校が増えてきています。が、それでもまだかたくなに「補習をしない」と頑張っている学校があったら、その学校の内情はどうなっているのか、想像できそうですね。お金のかかる原因は、この辺にありそうです。
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