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「内的欲求」と「外的刺激」~自主性をつけるには?

  • markun5
  • 2021年8月31日
  • 読了時間: 5分

<知らないと「やりたい」とは言いません>

 タイトルはちょっと固いのですが、何の事はない、子供って「知らないこと」は「やりたい」とは思わないということなんです。例えば、ピアノを見たことがない子は「ピアノをやりたい」とは言い出さないということですね。


 さて、ここでちょっと考えて欲しいのですが、例えば、「私は自主性が大事だと思います」と言って、まだ言葉を話せない、生まれて間もない子供に対して「この子が自分で話したいと思ったときに、話しかけて言葉を教えてあげようと思っている」という親がいたら、その親のことを皆さんはどう思いますか?

 大抵は「いくら何でも、この年の子に自主性って、ちょっと早すぎるんじゃないの?」と思う方が多いのではないでしょうか。

 それではもう一つ。うちの子、まだ子供なんです、と言って30才の子供に親が何でもかんでも手をかけて決めてあげる、という場合は? 大抵は「いつまでそんなことやっているの」という反応になろうかと思います。


 こういう風にちょっと極端なところから始めて、だんだん、その年齢を絞っていくと「いくつくらいから自主性をつけてあげなければいけないか」ということが分かってくるんですね。それで、この点に関しては、皆さんで考えてみてください。


 そこで、自分が感じている事を書いてみますが、全般的に自主性をつけようとする年齢が早すぎるような気がするんですね。幼稚園までは、お父さん・お母さんが一生懸命、いろいろなことを教えてあげているように思いますが、小学校に上がったとたん、手のかけ方が急に少なくなってきているように思います。

 例えば、幼稚園までは「本の読み聞かせをしていたのに、小学校になるとパッタリやらなくなった」という家庭は、結構多いんじゃないでしょうか。絵本は本棚に結構たくさんあるのに、普通の本は本棚にあまりない。小学校になったら図書館で借りてくるのかも知れませんが、それにしても、普通の本は極端に少ないように感じます。自分の見ている限りでは、小学校3・4年生くらいまでは、幼稚園の延長線上にいる、くらいに考えていた方がいいのではないかと思います。ですから、本の読み聞かせについても、小学校の3,4年生くらいまで、それも、お父さん・お母さんの判断で、少し、内容が難しそうなものを、解説しながら読み聞かせしてあげるくらいでいいと思います。

 実は、小学校3年生くらいでも、解説入りで本を読んでもらった方が、意味が分かりやすいため、喜んで聞いてくれる子供さんは、結構多いと思いますよ。

 そして、もっと言うと、小学校低学年のうちは、変に「勉強然」として、問題集だけでおしまいになっている子よりも、何かの機会に、お父さん・お母さんに本を読み聞かせてもらっている子の方が、国語力が高い傾向にあるように思います。


 そこで、子供達の学力と結びつけて考えてみますが、小学校1〜2年生の前半くらいまでは、幼稚園までに読み聞かせしてもらっていた刺激のストックがありますから、何とかやっていくことができます。ところが、小学校2年生の後半あたりから、どうも学力が伸びて行かない感じがします。

 もちろん、学校の授業の優劣もあるのでしょうが、それと同時に「家庭での年齢に合わせた外部刺激」も少なくなっているのではないでしょうか。

 読み聞かせに例をとると、小学校1・2年生くらいは、絵本を離れて、普通の本〜例えば「ヘレン・ケラー」の伝記などを読み聞かせてあげたりしてもいいのではないでしょうか。また、理解力が少し高まってきたら、職業の事についてや学校の勉強の事、習い事や家の手伝いなど、もっといろいろな事を話したりやらせたりして、具体的な身の回りの事について理解を深められるような刺激をたくさん与えてあげることが必要なのではないか、と思います。

 残念な事に、年齢に応じた適度な刺激がないために、子供達のものの考え方が、それこそ、小学校の低学年で止まってしまっていたり、それからの伸びがあまり見られなくて、中学生でもまだ、小学校3・4年生くらいの感覚の子が多いようになってきている〜すなわち、精神年齢が低い子が目立つ〜ように感じています。

 要するに、本を読むにも何をするにも、まだ、子供さんが正確に物事が出来ない、早すぎる時期に、自主性を求めてしまうがため、かえって自主性がつかない、もしくは、幼稚な視野の狭い自主性(この状況が自主性と呼べるかどうか?)でいる子供達が多くなっているのではないでしょうか。

 こういう状況で過ごすため、最終的に、自分の将来の事になると「何をするか決めていない」「何をしていいか分からない」、すなわち、外部からの知識が乏しいため、判断できずにいる子供達が増えているのではないか、と思うわけです。


 ですから、子供達には、特に小学校中学年くらいまでは、お父さん・お母さんが積極的に、いろいろな事を話して聞かせたり、実際に見せたりして、外側からたくさんの刺激を与えてあげることが大切で、そのたくさんの刺激の中から、子供が自分で「これがいい」「これをやりたい」と自分で判断していくことで自主性が養われると考えます。


 実は、前項の「入れる」「出す」の関係と「外部刺激」と「内的欲求」は同様の関係で、まず最初に「外部刺激」がふんだんになければ、子供達の自ら「これが欲しい」「これをやりたい」の「内的欲求」には、つながって行かないと考えておいた方がいいでしょう。

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