これは2018年に書いた内容です。単に「覚える科目が苦手」と言っても原因はいろいろあります。今回は、その中で特徴的な2つのパターンについての話です。
<覚えられないのは どこに問題があるか>
基本的に単純に「覚える」ものが不得意、という話であっても、その原因がどこにあるのか、ということが分からなければ、対処のしようがありませんね。ということで、今日は、そのお話。
タイトルにもあるように「インプット不全」というのは「覚え方が悪い」、「アウトプット不足」というのは「覚えた物を頭から引き出す練習が足りない」ということです。当たり前ですが、大きく分けるとこの二つの理由があるんですね。 そして、指導する側から言えば、インプットがしっかりしていて、単に「アウトプット不足」だけであれば、普通に問題を解かせていけば改善されます。ここは誰でも出来る非常に楽なところなんです。
ですから、問題なのは「インプット不全」なんです。
この「インプット不全」になる一番大きな理由は、適当に答えたり、どこかに書いてあることをこっそり盗み見して、それを答えたりしているうちに、きちんと頭に物事が入らなくなっていく、ということなんです。そして、その呼び水になっているのが「アクティブラーニング」。きちんとやっているならいいんですが、適当に答えても、ちょっとずるい事をやっても、何でも「いいですね」にしてしまっていると、この「インプット不全」の子が大量に出てくるようです。
そして、こういう「インプット不全」になっている子は大抵、単語だけを覚えていて、その区別がついていないというのが一般的です。例えば、よくある例としては、英語のhe his himを単に「彼」とだけ覚えていて、どこでどの単語を使うのか区別が出来ていないような状況になっているんです。社会・理科で、そういう現象が顕著でしょう。例えば、山脈を例にとると、単に「山脈がある」とだけ覚えていて、どこがロッキーなのかアンデスなのか、ヒマラヤなのかアルプスなのかが区別がついていなかったりするんです。
となると、指導する立場としては、こういう子は、まず一番最初に「インプット」をすべて総ざらいして、区別をつけたり、関連づけた覚え方を身につけさせたり、単に語呂合わせにしたり、と、もう一度、正確な形で頭に入れ直す、ということが必要になります。
ところが雑な指導をしているところは、単に「練習をすれば何とかなる」式で、ただプリントをやらせるだけ。そして、間違えたところを直すだけ、それだけにしかなっていないので、インプット不全を起こしている子は伸びていかないんです。むしろ、上記に書いたように「適当に答える」という癖をつけさせてしまうだけ。そして、これをやってしまうと、全体的にどの科目も、適当に答えるようになってしまい、総合的な順位などが下がってしまう、という現象が起きます。
逆に、雑に練習だけで伸びていったとしたら、それは、インプット不全が解消されてきていると思った方がいい。
それで、自分の手の内を明かすようで、あまり好きでは無いのですが、アウトプット不足を解消するには1ヶ月あれば充分なんです。一気に入試に向けて練習をすると、それできちんと物事が頭から出てくるようになりますから。
ところが、中3の子でインプット不全を起こしている子は、ギリギリまでインプット不全解消を行うようにして、その後、演習をたたみかけるしかありません。かなり厳しい勉強に耐えなければならない、ということなんですね。
Comments