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「もしも」~「仮定の考え方」は、どこで身につけるの?

 この記事も書いたときは2012年です。ただ、今でも「場合の数の単元」で「樹形図を教えない」先生がいるようです。それが、実は大きな弊害になっているということ。


(以下、2012年の内容)

 思考力の中に「仮定」というものがあります。「もしも、こうだとしたら」というところからスタートして、いろいろな状況を積み重ねて考えていく思考ですね。

 で、この仮定の考え方、小学校ではどこで出てくるかというと、一番ハッキリと「もしも」で考えるものは「場合の数」という単元で出てくるのです。中学・高校で言う「確率」の単元のことですね。

 それで、お父さん・お母さんは、記憶にあるでしょうか? 樹形図というやつです。  ここで、どのような考え方をするかというと「もしも、1番最初がAさんだったら、次に来るのはBさんか、Cさんか、Dさんになる」、次に「もしも、最初がAさん、2番目がBさんだったら、3番目はCさんか、Dさんになる」というふうに、順に線を引きながら図を作っていって、もれなく全部の組み合わせを作っていくというものです。そして、ここで出てくるのが「もしも」という仮定ですね。


 そして、さらにこれが発展していくと、算数の得意な方は覚えているかも知れません。鶴亀算というやつです。これも考え方のスタートは「もしも全部が亀だったら、足は何本になる」というところからスタートするわけで、ここでも「もしも」の考え方が使われています。


 これが、上級になってくると、いわゆるシミュレーションとなって、もしもここで「A」を選択したら、こういう状況になる、「B」を選択したらこういう状況になる、というふうにつなげていく考え方になってきます。


 さて、ここで何を言いたいのかというと、実は「ゆとり教育」のカリキュラムでは、この「場合の数」が小学校の教科書から削除されていました。そして、今年から復活はしたものの、授業では樹形図は扱っていないようで、要するに「もしも」の考え方で教えていない状況のようです。そうすると「仮定」の考え方が身につきづらい訳で、そのため、将来の勉強などに支障をきたす可能性があると思っていて欲しいのです。


 例えば「将来、こういう職業に就きたい」と思ったときには「もしも、この学校に進むには」と仮定の状況を作り、それに向かってシミュレートする事になるのですが、それが出来ないんです。ひょっとすると、いじめについても「もしも、自分が相手の立場だったら」という事が理解できないのかも知れません。で、この仮定が想定出来ない場合、当然、誰かが仮定の状況を想定して「こういうときには、この通り行いなさい」という「マニュアル」を作るしかないのです。「マニュアル人間が多い」というのは、この仮定の考え方が身についていない事にあるのではないか、と思ったりします。


 自分が実際に教えていて感じるのは、場合の数で「樹形図」が書けない子は、見たことの無い問題への対応力がちょっと薄い感じがします。おそらく「これを求めたら、ここが出せるのではないだろうか」、「この数値を求めるには、これが分かればいいのではないだろうか」という、問題の解法のシミュレートが出来ていないようです。これでは、難問には全く対応が出来ません。

 子供さんの学力状況を見るのに「樹形図」というのがカギになりますから、もしも、子供さんの勉強を見てあげるときに、機会があれば、「樹形図」のお話をしてあげてください。習う時期は小学校6年生の2学期後半になるところが多いと思いますので、その頃に、子供さんと樹形図で遊んでみましょう。

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