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「できないこと」ではなく「やらないこと」を叱る

 これも2016年に書いた内容です。お父さん・お母さんが子供さんに勉強を教えていて失敗するのは、この部分であることが多いと思っていてください。


<叱るのはどっち?>

 今回の話で大事になることは、まず「できないこと」と「やらないこと」の区別です。

 例えば、お母さんが子供さんに勉強を教えるときに良く出てくる「何でこんなものも出来ないの?」は、これは「できないこと」に対して出てくる言葉です。計算の仕方が分からないとか、漢字が読めないとか。ところが、分からないことは叱ったところで出来るようになりません。ここはきちんと教えなければならないところなんです。

 ところが、自分たちは「できないこと」に対しては叱りませんが、「やらないこと」に対しては厳しく叱ります。ここが違うんです。


 実例を挙げた方が分かりやすいと思うので、ひとつ「授業の準備」ということでお話しておきます。

 自分は、授業の際「宿題をやった分は、授業の前にきちんとまとめて、机の上に置いておきなさい」という指示を出します。その話をきいて、一度できちんと出来る子もいれば、やはり2・3回注意が必要な子もいます。ただ、大抵はそのくらいの注意をすれば、その後、きちんと毎回準備をしておくようになります。また、学校から帰ってくるのが遅くなり、準備が出来ていない場合も「今、帰ってきたばかりなので、少し待ってください」と言って準備をきちんとします。普通の子は、こうなんです。これであれば、叱る必要は無いんです。

 ところが、中に「強烈にだらしない子」というのが存在します。  そういう子は、何度か注意して、とりあえず1度や2度は、きちんと準備をします。ところが、それを過ぎるとまた準備をしなくなります。また、注意をします。すると1度は準備をしますが、次は、また元の木阿弥です。これが何度も続きます。要するに1度や2度はきちんとやっている訳ですから「できること」なんです。でも、面倒くさくなって、すぐに「やらなくなる」んです。こうなったら叱られます。

 こういう子は、例えば、自分で勉強したところを○つけしておきなさい、と言われたときに、最初は「きちんと答えを確認」して○つけをします。ところが少し経つと、面倒くさいので答えを見ずに適当に○つけをします。ですから、間違った答えに平気で○がついています。こんな勉強をしていて、勉強が出来るようには絶対になりません。  これも、今まで「出来ていたこと」を「やらなくなる」訳ですから、叱ります。

 もちろん、自分も「何でこんなものも出来ないんだ」と言うことがあります。ただ、その際は、宿題でも何でも「きちんとやっておけば、本来できるはずのこと」であるにも関わらず、サボって「やらない」ために分からなくなってしまったときなんです。  結局は「やらない」が原因になっているときだけなんです。


 ところが、お父さん・お母さんの中には、たぶん「私たちの頃はきちんとできた」という前提で、それが「出来ない」という場合に叱ってしまう傾向が強いのではないかと思います。例えば「聖徳太子」が分からない、などとなると「そんなこともきちんと覚えていないの?」という感覚になっているのではないでしょうか。でも、知らない事は分からないし、出来ないんです。それで叱っても効果は薄いんです。知らないときはちゃんと教えてあげればいいんです。本を読んでいて、読めない漢字があったら、辞書で調べなさい、でいいんです。

 ただ、「やらないこと」に関しては、逆に、心を鬼にしてでも「きちんと叱る」ということが大切になります。なぜなら、以前「国語の重要性」にも書きましたが、こういうだらしない子が「字が読めない」状況になったり、社会生活が営めない状況になったりしていくからです。そして、大抵の場合、慢心がベースになっているようです。要するに「いざとなったら、すぐ出来るから、面倒なことは今やらなくてもいいや」がベースになっていると思われます。

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