<余計なことをさせない>
例えば、小学生にテストやプリントをやらせる時「始め」の合図でバッと問題に取りかかる子がいます。一気に問題を進めて行くにはかなりの集中力が必要ですから、こういった子は、テストをするたびにどんどん集中力がついていきます。
ところがそれとは逆に、始めの合図をしたとたん、シャープをカチカチさせて芯を出したり、筆箱の中を覗いたりと、パッと問題に取りかかれない子は、なかなか集中力がついていきません。
消しゴムの使い方でも「パッと間違えたところだけを消して問題に集中していく子」と「やたらと不必要に消しゴムを使う子」の違いがあります。同じ「消す」ことをしていても「消している最中でも問題の解法が頭の中で連続している子」と「消しゴムを使う事によって頭の中から問題の感覚が消えてしまう子」では集中力に差が出てきます。
このように、集中するときに何か他の事をしてしまい、集中をとぎれさせてしまっては、集中力はつきません。私語についても、話す方はもちろん、話しかけられた方も、また、特に話しかけられなくてもその言葉が耳に入ってきた周りの子も集中がとぎれてしまいます。ですから、私語を放っておくと、そのクラス全体が集中力の欠けたクラスになってしまいます。
したがって、集中力をつけるためには、まず「集中するときに、その集中を途中で妨げるものを排除する」というのが絶対条件。そのためには「準備をしっかりさせる」ことや「全体として、やってはいけない事を約束する」という事を徹底させることが必要です。
また、上記の「消しゴムの使い方」のような個人のレベルでは、個別に状況をチェックすること。上記の例で言えば「消しゴムを不必要に使うのは勉強した内容をしっかり覚えていなかったり、理解していなかったり」ということがその原因ですから、単に「消しゴムを使うな」と言っても解決はしません。勉強した内容をもう一度確認してあげるなどの対応が必要になります。
いろいろなケースが考えられると思いますが、日頃、このくらいは大丈夫と思っていたことが、実は集中力を妨げる大きな原因になっているということも考えられるので、どういうときに集中しどういうときに集中しないのかということを比較分析してみることが必要です。
<小刻みにやることを変える>
前項同様、小学生や中学1年生などの低学年で効果のあるのがこの方法。子供の性格によって若干違いがありますが、基本的に年齢が低い子は、一つの事を長く続けるのは苦手です。また、おそらく、精神年齢が上がって行かないため、ある程度の年齢になっても落ち着きがなくじっくり物事に取り組むのが苦手という子が増えているように思います。こういう子は、やっている内容を小刻みにどんどん変えて行きながら、少しずつ一つのことに取り組む時間を延ばして行くように対応していきましょう。
例えば、最初のうちは、漢字を5個練習したら次は計算を5つ、そして本を声を出して1ページ読んで・・・と勉強内容を小分けして与え、なるべく短時間で勉強を終了させます。そして、慣れてくるに従って、漢字を10個練習したら次は計算を8つ・・・というように、一つの項目を増やしていくようにしていきます。こうしてやらせて行くと、どのくらいの時間集中力がもつか、どのくらいの難易度のものに対応出来るかがハッキリしてきます。その時の集中できる時間や難易度を基準として、そこから、時間を伸ばしたり、難易度を少しずつ上げていくようにします。
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