自分の受け持っている生徒で、今回の2学期の通知表が主要5科目で4つ、実技科目で4つの、合計8つ上がった子がいます。
それで、今回は「なぜ、そういう事が起きるか」という話。
まず、結論から先に書きますが、実は勉強に限らず、すべてのことに当てはまることなのですが、能力的なものというのは「風船を順に割っていく」というイメージに近いんです。
最初、子供の風船は、かなり小さい。そこに空気をドンドン送り込んでパンパンにします。それでもさらに空気を送り込むと、ついには破裂しますよね。すると、今度は一回り大きな、今までよりももっとたくさん空気が入る風船に変わります。そこにも、ドンドン空気を送り込んでいく、そして、その風船が割れると、さらに大きな風船が登場する、といった具合です。もちろん、この場合、空気に当たるのは、知識や経験ですよね。それをドンドン子供の中に送り込んでいくわけです。
子供たちの成長というのは、大人の目線では、ある時突然「こんなことができるようになったんだ」「こんなことを知っているんだ」と驚きと共に感じることが多いのではないかと思うのですが、これがいわゆる「小さい風船が割れた」という状態。
今回の生徒も、1年前から勉強を始めたのですが、勉強に自信のないところが多かったので、最初は小学校の復習を中心に進めていったんです。漢字検定は7級(小学校4年生相当)から。算数は4年生のテキストからです。
もちろん、小学生内容を中心に進めているうちは、まだ、中学校内容に頭が追い付いてきませんから、学校の成績はそれほど変わりません。ところが、風船が何度も割れて、漢字検定が4級(中1~2年生相当)まで進み、勉強内容が中学生レベルに追いつくと、その途端、堰を切ったように勉強の内容が分かり始めて、結果、通知表が上がる、ということになるんです。それも、1つ2つではなく、複数の科目が一気に上がる、という現象になります。
よく「勉強を始めたとたんに、すぐに点数が上がる」ということを考える人がいるのですが、もしも、これで結果が出る場合「最初から能力的に追いついているのに、勉強をさぼってやらない」というタイプの子か「中身が分からず、ただ、単純にテストの問題を覚えるだけ」のタイプしかありません。たいていの子は、この「風船を割る作業」を行っていかなければ、能力的な向上にならないんです。
ですから、そもそも「結果が出るまでには、知識や経験をそれだけ積まなければならない」と考えて、焦らず、子供さんの勉強に付き合ってあげてください。
一番まずいのは、江戸時代の学者、本居宣長も言っているように「いつまでも結果が出ない」とあきらめてしまうこと。ひょっとしたら、風船が割れる、一歩手前まで来ているのかも知れませんよ。
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