コンピューターが普及し始めたころ、こんな話が出始めました。
「知識はコンピューターに任せて、我々人間は考える方に力を向けよう」。
現在の教育の現場でも、知識を与える以前に、やたらと「考えよう」が連発されていて、どうも、そういう傾向が強いのではないかと感じます。
ところが、実際に蓋を開けてみると、知識がなければ、どこから問題に手を付けていいかが分からない、どうやって知識を得られるのか分からない、ということが起きて、物事を考えられない子が逆に増えているように感じます。
例えば、具体的に言うと、ネットで物事を調べようと思っても、検索ワードに何を入れればいいか分からないという感じです。要するに関連用語の知識がないんですね。また、実際に数学の問題を解こうと思っても、公式を知らないから、何をどうしていいか分からない。そもそも公式があるということすら知らないから、調べようともしない、なんていう事が起きています。
これでは、思考力以前の問題ということになってしまいます。
それで、そもそもの話なんですが、脳と言うのは定数量的なものではないですよね。脳の容量は10だから、8を「記憶」に使うと「思考」には2しか使えないというような、何かをすると、その分、何かが出来なくなるというものではないんです。だから、どちらもやるんです。できることなら「まず、知識を入れて、その知識を使って何かを考える」ということを繰り返すことです。
それに一番いいのが、小中学校では「算数・数学の勉強」なんです。まず、基本の考え方を知識として取り入れ、そこから、ケースに合わせて考え方を組み合わせたり、別の考え方を用いたり、場合によっては、自分で新たな考え方を生み出したり。
本当に考える力を付けたいのであれば、やはり、算数・数学の勉強をしっかりやることが一番の近道だと思いますよ。
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