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数学の勉強には「論理」と「感性・想像力」

<数学を勉強する理由>

 良く「論理的な考え方」を身につけよう、というような話があったり、そういう内容の本が出版されていますが、本来、論理的、というのはいったいどういう状況で生まれるのか、というお話です。


 一般的に物事を考える場合、一番最初に来るのは「感性」、そして次に来るのが「創造力」で、この「感性〜想像力」で生まれたものが「正しいかどうか」を判別するのに「論理」を使います。


 例を「ニュートンの万有引力の法則」に取ると、まず、「リンゴが落ちるのを見た」という観察を行います。普通の人は、ここで「あ、リンゴが落ちた」でお終いではないかと思うのですが、ニュートンは「なぜ、リンゴは落ちるんだろう?」と感じるんですね。この「物事に疑問を持ったりすること」〜何か、周りで起こったことに対し「なぜ?」という事を感じる能力を「感性」と言います。よく小さい子供が「これ、なあに?」「あれ、なあに?」「どうしてこうなるの?」という知的欲求を満たそうとしますよね。その行為がこの「感性」に当たるので、子供の疑問をつぶすような事をしてはいけない〜「感性」を鈍らせるような行為はしてはいけない、ということになります。


 次に、その現象を見たことから「なぜ?」の部分を自分で「想像」します。ニュートンの場合「ひょっとしたら、地球がリンゴを引っ張っているんじゃないか?」と考えたんですね。このように「ある現象が起こったとき、その答えの部分を想像する」のに必要なのが「想像力」です。そして、その想像力によって導き出されたものが「仮説」になるわけです。

 ですから、「なぜ?」「どうして?」だけで終わってしまうと、これは小さい子供の感覚とほとんど変わりません。ここに「今までの経験や知識で得たもの」から、自分が疑問に思ったことの「答え」を想像する、という行為が必要になるわけです。


 そして、最後に、その「仮説」が正しいかどうかを今度は自分で検証することになります。いろいろな実験をやったり、いろいろな資料を集めたりするわけですね。ここで、正しい・間違っているを判断する「理屈の積み重ね」が「論理的思考」につながっていき、ここで必要なのが「数学的思考」ということになるんですね。

 当然、ここでは「調べること」や「作業すること」が行われるわけで、計算が必要なものも出てきますし、実際に手を動かして実験をしたりすることもあるでしょう。ですから、作業能力が劣るということは、論理的な検証ができないということで、極端に言うと「思考力が劣ると同義」になってしまいます。


 「考える力を養う」という事になると、それは上記の「感性」〜「想像力」〜「論理的思考」を段階を持って、身につけていくという事になると考えてもらえればいいでしょう。そして、論理の部分ではどうしても「作業が伴う」わけです。計算がきちんと出来ない、ということになれば、それは「考える力」を養っているとは言えないんですね。


 ちなみに、この「感性・想像力」が足りない場合、周りの現象が理解出来ないわけですから、そういう場合「自分の理解できない事をするやつはバカ」のような発想をする人も多く出てきます。本にもなりましたが「オレ様化する若者達」「クレーマー」「思い上がり」のような現象が起きてくると思ってください。

 また「バカと言うやつは、自分がバカ」という話も「他人をバカにしている原因が、実は、自分の認識力不足から発生している」ということを指していると思ってもらえるといいでしょう。

 そして、大概、こういう行為が行われる場合は「知識のみで、感性・想像力に疎い」人の行う行為と思っていてもいいでしょう。よく「こんなのも知らないのか?」という言葉を連発するような行為は慎みましょう、という話がありますが、それは、この部分を差しています。そして、人の知らない事を俺はたくさん知っている、ということで自己を保持して「俺の授業のレベルは高い」という事を平気で言っているような状況が起きている場合、それは、情けない行為である、という事になりますね。

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