考える力を身につけさせようと、とにかく「何でもかんでも考える」ことを中心に勉強を進めようという向きもありますが、ただ、やみくもに考えさせても効果は薄いはずです。というのも、考える力を身につけさせるにはそれなりの「思考の準備」が必要だからです。
例えば、ちょっと極端に閑雅てみると、数学で「平方根」の内容を知らずに「平方根」の計算が必要な問題を考えさせても答えは出ません。小学生に「サイン・コサイン」の問題をやらせても無理というのは、分かりますよね。ところが、一見大人の目から見て「普通に考えると出来るような問題」であっても、子供達にとっては「サイン・コサイン」を見ているのと同じような感覚になってしまうものも少なくないんです。
ですから、「その問題を解くためにどういう知識やどういう考え方が必要か、という事をしっかり分析しておくこと」と「その子が、それに必要なものを持ち合わせているかどうか、を認識しておくこと」が必要になります。
おそらく「考えさせて出来る」と思っている先生方は「子供さんが知識や考えた方がしっかり出来ているということを見抜ける先生」か、もしくは「たまたま必要な知識を持ち合わせている子がいて、その子がたまたま出来た、という事例を持ち合わせている先生」であるはずです。そして、実際の指導を見てきた限りでは、おそらくは後者の方が圧倒的に多いようです。
そして、そういう人たちが言っているからと言って、お母さんがやみくもに「考えなさい」と子供さんに強要するには無理があると考えておいた方が無難です。そして、それが行き過ぎるとかえって子供さんが勉強嫌いになってしまう可能性もあります。無駄に時間を費やすだけになってしまう可能性もあります。
この思考の部分をクリアさせる事が、先生(特に算数・数学の先生)にとっての「最大の喜び」になるところではないかと思いますから、しっかりした先生であれば、この辺の研究は、かなりしっかり進めているはずです。ですから、これはプロに任せましょう。 1対1で指導している先生であれば、生徒の様子をみるのはしっかりしているはずです。また、塾などの多人数であれば、標準になる子を想定して授業を進めているはずです。塾や家庭教師の先生に「考える力をつけて欲しい」と望んでいる方は、子供さんが現在どういう状況かということを確認してみるといいと思います。
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