これも2014年に書いた内容です。
当時、全国的に学力向上の方向に舵を切り始めたころで、そのときに金切り声で「学校の先生って忙しいんです」と叫んでいた女教師がいたり、テレビでも「学校の先生は忙しい」がテーマの番組を放映していたり。
ただ、自分は、その忙しさに疑問を持っていたものですから、その「忙しい」に対して書いたのが、今回の内容です。
<学校の先生の忙しさって・・・>
某ブログで「他の人たちはどのくらい忙しいか分からないが、学校の教師は忙しい」と述べている校長先生がいたということが記されていました。そこで、学校の先生やそれ以外の人たちは、どのくらい忙しいのかな、というそのレベルを実例を元にはかってみようと思います。
それで、同じ教育関係ですから、学習塾と比較してみようと思いますが、塾には過去に何人か、学校を退職した先生が、塾の講師を希望して来ていたりします。そして、その先生方というと、まず、授業に立つ前に「模擬授業」という研修を受けるんですが、その段階で結構大変な思いをするんですね。
「塾って思ったより大変ですね」というのが大抵の退職組の塾志望教師の感想なんです。要するに「塾なら勉強を教えているだけでいいだろう」という安易な発想できている人が多いのですが、その授業の研修が厳しい。声の出し方はもちろん、黒板の使い方〜どこにどういう事を書くかということまで細かくチェックが入る訳ですから、おそらくは今までやっていたようなアバウトな事~教卓の前にドンと座り込み、生徒に教科書を読ませてお終いというようなこと~ができなくなります。早い人はここですでにギブアップ気味ですね。
そして、模擬授業の研修が終わって、授業に立ったとしても、結局、1度講習会を経験すると「ダメだ、自分の体が持たない」と、この段階でギブアップします。
というのは、講習会は朝から晩まで一日いっぱい授業です。
自分のいた塾の話をすると、1時間=50分授業として、それを3時間こなして1セット。それを午前コース、午後コース、夕方コースと3セットで1日が終了。1日9時間です。それも、ずっと立ちっぱなし、ずっと話しっぱなしで9時間です。
ですから、学校の先生上がりで、塾講師を長く続けている人って、大抵は学生の頃に塾のアルバイトをしていて塾講師の経験があり、その経験と学校を比較して、学校の状況では満足しきれない、というタイプの人でしょう。それでないと続かないと思います。
そして、これが究極なのですが、学校の先生で塾をギブアップした人って、大抵、まだ学校の先生の出戻りしちゃう人が多いんです。結局、この状況から、同じ教育関連の業種ということでは、塾と学校を比べた場合、学校の方がずっと楽なんでしょうね。それじゃなきゃ、戻らないと思いますから。
また、学校の先生は提出書類が多いという話ですが、これは、たぶん、どの業種でも報告書は出さなきゃならないものじゃないんでしょうか。
塾の場合は毎日の授業で報告書を書かなきゃなりませんし、テストやテキスト関係の作成もあります。毎日の授業用のプリントづくりは当たり前。
そして、たぶん、学校の先生が経験したことのないのが「生徒募集」関係だと思うんですね。厳しい話ですが、成果が出なくてもとりあえず書類だけ出しておけばなんとかなる、というのなら、これほど楽な仕事はないじゃないですか。成績であろうが、生徒募集であろうが、成果が出なければやっていないのと同じ、という扱いが塾ですから。
「とりあえず指導はしているんですけど、なかなか出来るようにならないんですよ〜」でお終いに出来るんだったら、非常にお気楽ですよね。
でね、もっと言うと、塾関係では、あまり周りで「忙しい」という先生はいないんですよ。もちろん、学校の先生でも、休みの日にイベントなどの活動をしていたり、学校内部の改善に取り組んでいる先生など、普通の先生よりも精力的にいろいろな活動をしている先生のお話を聞くと、やはり、あまり「忙しい」と言わないんですよ。
聞くところによると「忙しい」を言うのは、地域の行事や、何か子供達関係の行事があって、顔を出してください、とお願いしても全然出てこないような人たちなんだそうです。こういう人は休みの日に何をしているんでしょうね。単純に考えると、休みの日に何らかの活動をしている人の方が、総じて仕事量が多いと思うのですが。
ということで、ちょっと「忙しい」の話がおかしいでしょ。
ましてや、自分は、塾講師って非常に気楽な仕事くらいにしか思っていません。というのは、一般の企業などの方が、もっと忙しいと思うからです。
実際に、お父さん、お母さん方から「学校の先生って忙しいですよね」という言葉をかけられることもあるでしょうが、それは、お父さん、お母さんからすると「なかなか言う事を聞かない、うちの子供を預かっているわけだから、大変な仕事なんだろうな」という思いが言葉になっているだけ。
ですから「忙しい」を言う前に、単純に「業務」として見た場合、どうなのか、ということを考えた方がいいのではないでしょうか。それが納得いかないのなら、他の業種で仕事をしてみると、いいと思います。
Comments