前項では、学力の上がらない原因を教育行政的な側面から見てみましたが、今回は先生の意識という面から見てみようと思います。
それで、これは全国的な傾向のような気がしますし、学校の先生だけではなく、塾の講師などもこれに当てはまるのですが、どうやら、今の先生方の意識として中心になっているのは「子供に嫌われたくない」「いい先生と思われたい」というもののようです。
そして、個人的には、どの先生も多かれ少なかれ、そういう気持ちがどこかにはあると思うので、それ自体は悪いことだと思いません。ただ、これが行き過ぎて、結果的に子供たちのためにならないことを平気でやってしまうような先生が出てきているようです。
例えば、宿題について言うと「宿題を出すと嫌がられるから宿題をなるだけ出さないようにしよう」というように、子供たちの負担になることを排除しようとする傾向になっていたり「忘れた子を怒ると、その子から嫌われるから、怒らなくても済むように、宿題を出さないようにしよう」という、いわゆる自分の保身のような感覚で考えていたりするんですね。
当然、今までこのブログを見てきた人なら分かると思いますが、子供たちの負担を減らして「作業量を減らし」てしまうと、結果的に学力は上がりません。
また、これとは逆に「楽しい授業をしよう」というところにばかり気を取られてしまっている先生もいます。
たまに目にすることがあると思うのですが、授業中にクラッカーを鳴らしたりして、ワーッと盛り上がる授業をしている先生っていますよね。それで生徒から人気があると言われるのですが、あの授業、指導している側から見ると「非常にレベルの低い、そんなバカ騒ぎしなくても普通にできるでしょ」という内容なんです。さらに言うと、その場で子供たちに問題演習の量をこなさせないと、結局、できるようにはならないですよ。これは学習塾でもよくある話で、特にこのように騒ぎ半分で授業をやっている先生の授業では、「何となくできるような気になってるだけでお終い」というケースが結構多いんです。
そして、これは実際にあったケースなんですが、こういう「楽しい授業をしたい」「いい先生だと思われたい」が高じて、生徒のしつけが緩くなり、授業でも学力がつかないという理由で、生徒からだんだんそっぽを向かれるようになって、クラスが半分崩壊状態。そこから精神的に病んでしまった先生というのが出ています。
学校の先生でも、精神的に病んでしまう人が多くなっているという話を聞きますが、その原因の一端は、こういうところにあるのではないでしょうか。
これとは、ちょっと対照的なのですが、根底に「生徒のためになることをしっかりしよう」というものがあれば「宿題は最低限、これだけはやってくれ」ということになりますし「姿勢が悪かったり、忘れ物があったりする」と、当然注意しますよね。
ですから、根底にあるものがしっかりしているか、いないか、の差が、実際に学力調査を行ったときに、結果として出てきているのではないかと思っています。
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