大抵のお父さん、お母さんは子供さんのテストの点数を見て「上がった、下がった」と判断していると思います。でも、これは、子供さんの学力を把握するということを考えると、あまりよい判断方法とは言えないんですね。
子供さん一人一人には、普通に学校に通って普通に授業を受けていれば、「どんなに勉強をさぼっても、これ以上は点数が下がらない」という「点数の最下点」と「どんなに一生懸命頑張ってもこれ以上点数が上がらない」という「最上点」が存在します。子供達のテストの点数は、通常、この間で推移します。そこで、この点数の範囲を「学力域」と言うことにします。
もう少し具体的に数値でお話しすると、A君の学力域が500点満点のテストで「340〜390」、B君の学力域が「250〜310」とします。すると、A君の場合、勉強せずにさぼっていた場合、テストの点数は340〜350点くらいになりますし、一生懸命勉強すると380〜390点くらいの点数を取ることができます。また、B君の場合だと、一生懸命勉強を頑張ったときには300点を超えてきますが、さぼると250点近辺にとどまってしまう、ということになります。ですから、この場合、B君が頑張って勉強して、A君が勉強をさぼっていても、B君はA君を抜くことは出来ません。普通、子供さんやお母さん方が「点数が上がった・下がった」と言っているのは、この学力域で点数の推移にしかなっていないのです。
ですから、お母さんが「点数上がった〜子供さんの学力が上がった」と思っている場合でも、我々講師の目で見ると「今回は頑張ったな」とか「もうちょっといけるはずなのに、どこかでちょっと手を抜いたな」というような評価になっています。
そして、我々が目標としているのは、もちろん、学力域内での点数アップもありますが、究極は「学力域の上方シフト」なのです。例えば、前述のB君の場合だと学力域を今の250〜310から280〜340にシフトさせると、頑張って勉強すればさぼっているA君を抜くことが可能になります。
また、この学力域は、最下点が上昇してから最上点が上がるという傾向が強く、そのため、最初の段階では「ミスを減らす」「語彙力をアップする」「学校の先生の説明を理解できるようにする」という、基本作業を習得させることが鍵になります。ところが、点数だけを見ていては、この学力域の上昇が感じられなくなってしまい、そこで、子供さんがしっかり頑張ったのに「もっと勉強しなさい」「全然勉強していないでしょ」と小言をいうと、子供さんの勉強のモチベーションが下がってしまうということになります。
それでは、どこで「学力域が変わった」という判断をするかというと、学力域の変化が起こると、日頃の言動が変わってきます。日常の生活の中で少し難しい言葉を使うようになったり、日頃、やったことの無いことをやり始めたりします。
お父さん、お母さんの目でみて「あ、ちょっと大人になったな」なんて感じることもあると思います。
一見「性格上のことで学力と関係ない」ように思ってしまうかも知れませんが、これは基本的な語彙力や算数・数学の「筋道を立てたものの考え方」が出来るようになって変わることですから、学力と密接な関係があると思っていてください。
Kommentare