前のホームページに載せていた内容で、基本的な部分を少しピックアップしてみました。一気に複数の内容をアップしたので、それなりの量です。
内容はごく当たり前のものなのですが、そういうものほど、実は、しっかり出来ていなかったりします。
また、20年近く前の話ですから、今では、もう少し進んだ内容の話になっているものもありますが、一応、ベースは「ここ」と考えておいてください。
「練習量が少ないと勉強が身につかない」
先生方の中で話題になっている「学力向上の指導」の大半は、どんな方法であれ、基本は「子供達に練習をたくさんさせている」ものなんです。特に大切なのは、習った瞬間の練習。 子供に勉強内容を身につけさせるためには、教えたときにちゃんと自力で最後まで答えが出せるように練習させます。 目安は、「迷わず、最後まで正しい方法で解けるようになっているかどうか」。 自信なさそうに、考え考えやっているようでは、まだ、練習不足。迷いなく「次にすること」がちゃんと出てくるようになるまで練習が必要です。本当に出来るようにするためには、「教える(説明する)時間」より「練習の時間」の方が圧倒的に長くなるはずですよ。
「身につけるまでの練習量には個人差がある」
前項の補足ですが、生徒が身につけるまでの練習量には個人差があります。当然、「1回ですぐ身につけてしまう子」や「10回以上練習しないとなかなか身に付かない子」など様々な能力差があり、これは「集中力」の問題と合わせて、過去の「覚えるための練習」が不足しているため「覚え方が身についていない場合」に生じる問題と考えています。 ただし「集中力」「覚え方」のどちらも「練習による能力向上」は可能。そして、この能力を向上させるためには、やはり「きちんと覚えるまで練習すること」です。中途半端でやめてしまっていては、能力は向上しません。 よく、お母さん方の中で「うちの子、物覚えが悪いんです」という言葉を聞きますが、それは、反復練習が足りないと考えて下さい。そして、他の子よりも練習量が多くないと身に付かないと考えて下さい。ただ、どんな子供さんでも「日本語」が話せるように、「日本語を覚えたのと同様の反復練習」さえ多くすれば、必ず身に付きます。 はじめはお母さんの方でイライラするかも知れませんが、練習をこなしていくうちにだんだん要領が良くなっていきますから、「きちんと覚えるまで」忍耐強く子供さんの勉強につきあってあげて下さい。
「新しく習った内容をきちんと身につけさせる」
数学の授業などでたまに見られるのが、結果オーライの教え方。解き方がしっかりしていなくても「とりあえず答えが合っていればオーケー」にしてしまう人も少なくないんです。例えば、中1「正負の数」の加減で、カッコをはずした式を教えるときにカッコをつけなおして計算させたり、累乗の式のときにかける数を何度も書いて計算させたりする人も多いが、これだと、次の新しい内容が出てきたときの習熟度が極端に劣る事になりかねないんですね。だから、カッコをはずした式の計算では、きちんとカッコをはずしたままの感覚で計算が出来るように指導するべきですし、累乗は、いちいちかけ算の式を羅列しないでも、すぐに計算出来るような感覚にしなければならないんです。 このように新しく出てきた内容というのは、次のステップに移行するために重要なものなので、答えが合っているという事より、その解き方(その内容を習った時点で身につけなければならない数学の感覚)を最重要視して指導していかなければならないと思ってください。
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「手本を必ず見せる」
最近、生徒から聞くのが「自由にやっていい」という先生の指示で「何をしていいのか分からない」とネをあげていること。「総合的な学習」の授業内容でこういう状況になっていることが多いようですが、これが、通常の勉強内容にも波及しているともっと悲惨になります。
例えば、分数のかけ算などでも途中式ではなく答えを出してから一生懸命「約分」をしている子が多いのですが、これでは、正確に早く計算するという「計算の目標」に到達は出来ません。前項で述べたように「答えが合っていればいい」のではないんです。ところが、最近、こういった計算を行う子が増えていることを考えると、学校で、本当に「計算の仕方」を生徒にきちんと見せているのかどうか疑問なんですね。 自分の指導経験で考えると、分数のかけ算を教えるときに「まず、自分で考えてやってごらん」と一度生徒に勝手にやらせてから「こういう風にやった方がいいよね」という程度に正しい計算方法を見せると、こういう雑に計算してしまう状況になりやすいと思います。もちろん、これで正しい方法を身につける子もいますが、たいていは「答えが合っているから、自分のやった方法でもいいや」と考えてしまい、正しい方法に直そうという子が少なくなってしまうんですね。だから、新しい思考パターンのものが出てきたら、必ず「手本を見せて、その通りにやらせること」からスタートさせてください。 一部の先生は「そうやって考えさせることが、考える力を付ける最良の方法だ」と思いこんでいるようなのですが、はっきり言って全然生徒の為になっていません。先生というのは「先に生きている」と書くんですよね。先に生きていて「勉強」においても「人生」においても「生徒の手本になる」人間という意味で、そこから、聖職という言葉も生まれて来ているのわけです。したがって「手本をきちんと示せない」のは「先生の資格がない」と同じ意味になります。 ちょっと内容が大げさになってしまったが、小・中学生では「基本は手本を見せる」こと。そして、小・中学生の思考とはその手本を基準にして「そこからいろいろな内容に正しい方法で利用する」という部分を指していると考えてください。だから「子供達が分からないという部分」や「しっかりと身についていない部分」があったら、何度でも「手本を見せる」ことを繰り返してあげてください。
「間違いの方を強調しない」
先生方の指導の中でも見られるが、「正しい解き方」より、「こうやったら、間違いですからね〜」と、ミスパターンの方ばかりを強調して教え込む人が、少なくありません。 ところが、このやり方だと、間違いの方が、強烈に子供にインプットされてしまうので、肝心の正しい解法がぼやけてしまうことが多く、そのため「先生がダメって言ってたような気がするけど、正しいやり方を忘れちゃったから、間違った方法でもいいやと考える子」や「正しい方法だったか、間違った方法だったか、区別がつかなくなってしまう子」が出てきてしまうんです。 基本は、「正しい方法だけをしっかり教え」、間違えたやり方をしてしまった子には「正しいやり方は、こうだったよね」と、出来るだけ正しい方法だけを見せてあげるように指導するように心がけてください。
「白黒をハッキリさせる」
「全員正解」や「みんな一等賞」という風潮に流され、以前より、ダメな事や間違いをきちんと「ダメ」や「間違い」と指摘しなくなっているように感じます。ただし、最近の子の傾向として「それは間違いだよ」と言われても、何度でも同じ間違いを繰り返し全然進歩しない子が増えているのは事実。どうやら「間違えたら、正しい方法に直す」という習慣が身についていないようなのだ。 ところが、これだと、当然学力は進歩しないし、それどころか、新しい内容を習っても結局、身につかずに「分からない」という状態になってしまい、それが積み重なると、まったく勉強が出来ない「落ちこぼれ」になってしまうんですね。 したがって、子供に勉強させるときに「合っている・間違えている」の区別をしっかりさせることが大切。そして、間違えたらきちんと直すという習慣をつけさせること。したがって指導する側も「う〜ん、それはね〜・・・」などとあいまいな言葉で間違いを直す指導をするのではなく、「それは、違う。どうしてかと言うと・・・」というように結論をしっかり述べてから指導していくように心がけたいもの。 また、例えば数学の方程式の立式のように、正答が複数ある場合でも、その中で「よりよいもの」があるのなら、「こちらの方がいいね」とハッキリ子供に提示することが大切。「とりあえず合っていればいい」ではいけないのだ。
「識別能力をつけさせる」
最近は、物事を正確にきちんと認識する能力の劣っている子が目立つような気がします。ゲームなどで、飛ばして次の画面に行く癖がついているせいか、正確にきちんと覚えようとせず、パッと見た目だけで判断しようとする子が多いんですね。もちろん、こういう癖がついていると、漢字などのちょっと複雑なものになると全然書けないし、英単語のスペルも、正確に覚えずになんとなく見た目で書こうとするので、特に同じ文字が複数出てくる単語(usuallyとかrememberのような)は、ただ適当に「確か、こんな文字があったはずだ」と自分の記憶になんとなく残っている文字を並べるだけになっています。 こういった子は、英単語でbとdの区別が曖昧です。要するにこの二つの文字を「棒と○のある単語」としか認識していないから、○のついている側が右だったか左だったか正確に覚えていないので、一度書いてみてから「違ったような気がする」と思って直したり、という書き方をするようになっているんですね。 中学生であれば、ある程度強制的にきちんと覚えさせる癖をつけさせないと、当然入試には間に合わないですし、小学生であれば、ある程度は遊び感覚で「仲間分け」をさせながら、しっかり違いを見極める練習をさせるといいと思います。 ただし、この識別能力は、図形の識別能力に近く、小学校のとき、「三角・丸・四角」を区別させる練習をしたりするのですが、その辺がしっかり出来ていないと、あとあと細かな区別をするというところで、困ることになります。ですから、簡単に考えている人も多いと思いますが、小学校低学年の勉強で手を抜いたりするととんでもないことになるんですね。
「課題をしっかりやらせる」
これも当たり前の事のように思いますが、意外にしっかり出来ていない場合が多いんですよ。というのは「自分の力でしっかり解く」ということが出来ていない子が思った以上に多いんです。分からないことがあったら調べるという単純作業でも「誰かを頼ったり、ごまかしたり」する場合が多くみられます。当然、こういったところにまで目を向けなければ「自力で勉強できる子」にはならないですよね。 本来なら、学校の方で毎日きちんと課題を出し、それをチェックしながら「ごまかしをしない子」「やらなければならないことをしっかり出きる子」になるよう指導してもらいたいと思っているのですが、だらしない子は、いつまでもだらしないまま、あまり変わらないようです。 したがって、これはある程度、家でしっかりやるよう指導していくしかないんですね。 課題忘れなどについては別の項を参照していただくとして、まずは「自分の力できちんと勉強出来る子」を育てるためには「課題は不可欠」です。そして、課題を出した以上は、必ずチェックすることが必要。おざなりなチェックで、子供に「楽をする癖」をつけさせると後々、直すのに苦労しますから、特に課題の出し始めの段階には、しっかりチェックをし「楽をしたり、ごまかしたり」すると厳しい処置が待っているということを印象づけておくのが一番いいのではないかと思います。
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