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ノートの取らせ方

 学力の話でノートが出てくると、よく言われる話に「ノートを取ることに一生懸命で話が聞けていない=だから勉強ができない」というものがあります。でも、これは教える側の立場から言ったら「あらかじめ分かっていること」なんですよ。それで、前の項目でも書きましたが、分かっているのだったら、最初からノートの取り方を教えてあげればいいことなんです。


 自分は、塾時代、どちらかというと、低学年を受け持つことが多かったんです。小学生とか中学1年生ですね。そして、小学生は当然、中学1年生でも、やはりきちんとノートを取ることができない生徒が結構多いんです。もちろん、そのまま何も言わずに授業をしていたら、それこそ「ノートを取るのに一生懸命になってしまう子」や「ボーっと話を聞いているだけで何も書かない子」、「ノートを取るタイミングの悪い子」など様々。


 そのため、まず、最初は

「ノートを取る時間はあとで取るから、まず、しっかり顔をあげて話を聞いてください」

と言って、最初に話をしっかり聞かせてから、ノートを取る時間を取ってあげます。ただし、これだけだと「いつまでもモタモタ書く子」が出てきますから、

「もし、最後まで写せなかった人は、そこのスペースを空けておいて、後で友達からノートを見せてもらって、写しておいてください」

と話しておきます。これによって、実際に書けなかった子は写すことになるのですが、大抵は「早く書かなきゃまずい」という気持ちになって、一生懸命時間内に書き終わらせようとしますから。


 これにある程度慣れてくると、今度は、黒板に字を書くときに、

「先生が黒板に字を書くのと同時に、みんなも写してください」

と言って、板書を始めます。当然、子供たちから見えるように板書をしなければならないので、右手を伸ばし、黒板を背にして手の甲の方で字を書くようなスタイルです。これ、ちょっと練習すればできるようになるんですが、おそらく、そういう事をやっている学校の先生ってあまりいないのではないでしょうか。ほとんどの学校の先生は、黒板の方を向いて書くんです。それだと、完全に体で字が隠れて生徒から見えないですから、要領よく黒板を写すことができないんですね。


 このように「要領よくノートを取らせる指示」をしながら、徐々に慣れさせていくと、子供たちは「学力が上がるノートの取り方」ができるようになっていきます。

 ただ、残念なことに、こういう「ノート指示」をしない、板書を生徒から見ずらい状況で書いても平気、という先生に当たったら、子供たちはきちんとノートを取ることが出来ない=学力が上がらない、ということになります。

 そして、この「ノートを取らない」状況が1年も続くと、きちんとノートを取る授業を受けてきた子との学力差が大きく開きます。


 ですから、子供さんのノートを見て、全然、ノートが進んでいない、という状況なら、お父さん、お母さんの方で、

「学校の授業を思い出しながら、ノートにまとめてみよう」

とか、

「今日、習ったところの教科書の内容をノートにまとめてみよう」

などのようにして、ノートをまとめる練習をさせてみてください。

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