これも約20年前に書いたお話。今では、ここの結論に書いているように、やはり「学力別クラス分け」の指導が多いようで、チーム・ティーチングを採用しているところは、どちらかというと「学級崩壊を起こす可能性がある先生の授業に入って、生徒のしつけを見ている」というケースになっているようです。
ただ、このチーム・ティーチングも一時期、やたらと流行りました。最初からダメなことが分かっていたのに、採用するときには、これが「素晴らしい指導法」なんて言われていたんです。
今回は、もう一度、検証用として再掲しました。いわゆるぶっちゃけ調で書いています。
<TTって何?>
今、子供達の学力を高めるために、1クラスに二人の先生が入って、サブの先生が、メインで授業をする先生のサポートをしていく形式の授業をチーム・ティーチング(略してTT)方式と言ってるんだけど、ご存じだろうか? 週休2日制を迎え、いろいろな学校が新制度を導入している中で、結構、話題となって進められている授業の形式で、状況だけ聞くと、「個別に教えてもらえる機会が増えていい」と感じる人も多いと思うし、テレビなどでは、子供達が「分からないところをもう一人の先生が個別に教えてくれるから、いい」などと言っているところが映し出され、非常に良い形式の授業として取り上げられているんだけど、本当は、いったいどうなの? ということを、ここで、しっかり検証してみちゃおうというのが、ここの主旨です。
<子供達の不満>
さて、このTT方式なんだけど、実際のところ、学校で導入するのは珍しい、という事で話題になっているだけで、一部の学習塾ではかなり早期から、このTT方式に近い形が導入されているから、今までそういう学習塾でどういった状況だったのかを取り上げるのが手っ取り早いと思うんだよね。 それで、こういった授業形態の塾で生徒が不満に思うことは何かと言うと、一番多いのは、「分からないところがあって、生徒は先生を呼ぶのだが、時間の都合でその子のところにいけない事」なんだ。そういった形式の塾を辞めて他塾に移る生徒の大半の不満は「待っているのに、教えてもらえなかった」というものなんだよね。特に「引っ込み思案」型の子にこういった傾向が多いんだ。 「うちの子、分からないことがあったらちゃんと先生に質問してきなさいと言ってるんだけど、何だか、うまく先生のところに質問にいけないみたいなんですよ」という事を言うお母さんも多いんだけど、これだと、TT方式の学習には抵抗が生じる可能性がありそうだよね。 もちろん、先生の方に時間の余裕があって、何も言わない子でもちゃんと見てあげられれば、それに越したことはないんだけどね。でもね、年度が始まったときは、それこそ、新制度ということで、先生方も張り切ってやってると思うし、余裕を持って取り組んでいると思うんだけど、いざ、年度が押し詰まって、勉強の進度が遅れてしまったりすると、当然、時間の余裕などなくなり、生徒をしっかりと見てあげられなくなる可能性が大。 さてさて、こういう不満を出さずに先生方は、うまく計画通りに進めてくれるんだろうか?
<子供の甘え>
それと、もう一つの不安材料は、「子供の甘え」。「分からないところがあったら、先生に聞いちゃえばいい」っていう感覚で、「授業をキチンと聞かずに、質問だけで済ましちゃおう」っていう子もでて来るぞ。こういう子って「低学力」の子に多いんだけど、「自分で覚えようとせず、すぐ、ノートをみたり、人を頼ろうとするタイプ」って、全然、学力が上がんないだよね。もともと、「勉強内容をキチンと覚えて、問題を解く」という習慣がないのかも知れないけど、一旦、そういう風に感覚がこじれるとなかなか元に戻らない。だって、覚えるより人に聞いたりした方が明らかに楽でしょ。 そして、このTTっていうのは、その頼れる人がすぐ目の前にいるんだから、普通の状態で勉強をすればキチンとやる子でも、先生を頼るクセがついちゃうよ。 おまけに、先生が説明の後で「問題をやりなさい」と言ったら、それは、「今、説明した内容をどれだけ覚えて使えるか」を確認するためにやるのであって、そこで、先生が手をさしのべてしまったら、子供は「キチンと内容を覚えて使える子」にならなくなっちゃうよ。それでもいいの? 元来、分からないところがあったら、授業後でも、質問出来るんだから、何も敢えて授業中先生がまわって歩く必要ないじゃん。この方式、結局、先生の「親切の押し売り」状態にしかならないと思うけど。 実際、自分もこういうサブの先生のついた授業の経験あるけど、サブの先生が必要以上に教え込んでしまって時間配分が悪くなったり、いつまでも教えてもらおうと先生を離さない子のために、けじめがなくなったりしたして、それでいて、学力の向上はパッとしなかったしね。 むしろ、学力の向上を狙うんだったら、黒板の前に立った先生が「キチンと顔を上げて、集中して聞きなさい!」と、けじめのあるビシッとした授業をやった方が、ズッと効果が高かったよ。
<結論>
と言うことで、同じ2人の先生を使うんだったら、能力別に2クラスに分けて、黒板のところで説明する先生の話をキチンと聞く形の授業の方がズッとお得。そして、おそらくは、先生にとってもそちらの方が都合がいいはず。 だってね、このTT方式で成果が出る場合は、「授業を妨害する子がいるので、その子の監視役」につく先生を追加するいうときか、もしくは、非常に指導レベルの高い先生同士で緊密に連携がとれている場合。そして、もしも、先生同士の連携が緊密で成果を上げているのであれば、それだけ力のある先生なんだから、もう一人の先生に気兼ねせず、自分一人のペースで堂々と授業が出来る環境にしてあげた方が、子供達の指導もしやすくなり、ずっと成果が上がりやすいわけで、そのためには、やはり少人数の2クラスに別れて指導するべきでしょ。 もしも、TT方式で指導する学校と2クラスに分けた少人数制で指導する学校の2つを自由に選べるようにしたら、明らかに少人数制を導入している学校の方に人気が集まると思うよ。そのくらい、学力面での(生徒の意欲面でも)差が顕著についてくるはず。 ま、なにはともあれ、今後の指導の状況を見て、この二つの方式を比べてみましょうね。
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