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markun5

%を教えよう(7)

更新日:2021年1月13日

「%を教えよう」は、一旦、ここで区切りを入れようと思います。ここでは「割増・%増」や「割引・%引」の計算を教えてみようという所です。

 具体的な問題としては、

「%増」だと 「仕入れ値に20%の利益を見込んで定価をつけました。定価はいくらですか?」

という問題。

 「%引」だと 「バーゲンセールで、ある品物が500円の20%引で売っていました。売値はいくらですか?」 という問題なってきますね。ここでの目標は、この2つの問題が、ちゃんと答えを出せるようになる、ということ。ちなみに、どちらも消費税がつく前の値段を求めなさいということです。

 ここは「解らない」と思っている子が多いところなので、しっかり、段階を踏んで、子供達に「出来ること」を実感させながら進めていってください。


 まず、最初は「%増」「%引」の意味をしっかり教えます。そして、ここを教えるときに気を付けておかなければならないことは、実は、内容以前に口調をしっかりすること。「みんなもちゃんと話を聞いたら、しっかり出来るようになるんだよ」という感覚で話をしてください。間違えても「難しそうな顔」をしたり「自信の無さそうなボソボソした口調」で話してはいけません。その段階で、子供達は自信を無くしますから。


 そして、ここで、最重要なのは「問題文」。最初に書いた問題だと、子供さんは「文章自体が難しく感じる」場合がありますから、思いっきりデフォルメした問題に切り替えて 「%増」は「500円の20%増はいくらですか?」 「%引」は「500円の20%引はいくらですか?」 という問題にしておきます。要するに「文章を読んでそのまま計算出来る問題」に切り替えておく、ということですね。


 話としては、まず「%引」からいきましょう。  「%引」は「%の分を引いて計算してください」という意味。「20%引」とあったら「20%分を引いてください」と言っているんだ、と考えるんだよ。でもね、何も無いところからは引けないでしょ。だから、最初に何かがあって、そこから「20%引く」ということになるね。  「%増」も考え方は「%引」と同じ。「20%増」とあったら、元々何かがあって、そこに「20%分を足してください」という意味なんだ。


 ここまで言って、もしも、子供さんがすぐに出来るようなら、その場で問題を解かせてみてください。500円の20%を計算して、それを500円に足したり、引いたりしているようなら、一旦、それでオーケーです。

 ここで、もしも「よく分からない」ようなら、すぐに次を続けてください。出来る子であれば、一旦、計算で答えを出した後、この話しに続けてください。


 それでね、ここの「500円」っていうのは、実は「100%分の金額」になってるんだ。だから「20%引」は「元々の100%から20%分を引いて計算してください」って言う意味。100%から20%を引いたら80%になるから、ここでは「500円の80%を計算して下さい」って言うのと同じ意味なのさ。

 そして、ここで実際に計算して見せてください。「%を教えよう(6)」から続けて来ていると、ここは抵抗無く計算式を作れるはずです。500×0.8を計算して、400円と答えを書けばオーケーです。そのあと、全く同じ文章で、数字だけ変えて練習させます。


 ここに到達すると、次は「%増」ですが、これは「引く」を「足す」に変えるだけなので、一度見せてあげるだけで抵抗感は無いと思います。すぐに計算の練習をさせてください。


 また、この辺りでは、実際に大人の人がやっている具体的な話をしておくといいでしょう。お店やさんで「20%引き」を電卓で計算している人は、実際に「500×0.8」をやっているとか、タクシーの深夜料金の「2割増」を計算するときも、元々の料金の1.2倍で計算しているんだよ、とか。


 ここまで計算が出来るようになったら、次にいろいろなパターンの文章問題を見せてあげます。中には文章に直接「%増」や「%引」の言葉が直接出てこない問題もありますから、そのときは文章の読み方を丁寧に説明してあげてください。  また、出来る子には、500×(1-0.2)という式まで書けるようにしておいてください。というのは、中学校に入ると、文字式では「20%増」はすぐに「1.2x」と変換するようになりますし、方程式の文章問題では「500×(1-0.2)」の形の式を使って方程式を作る問題も出来てます。


 ここを教えて失敗している人の多くは、いきなり最初に書いた文章問題をやらせようとしているケースです。文章の読み取り自体がまだ出来ない段階で、いきなり文章を読ませて「解け」と言ったところで、かえって「???」を増やすだけ。ここでは、デフォルメした文章に切り替えて、子供さんの抵抗感の薄い状況で一旦「%増」「%引」の計算をさせてあげることがポイントなんです。ここで式と計算を出来るようにしておいてから、実際の問題を少しずつ読みとっていくという練習になるんですね。


 30人、40人の集団指導で教えている場合、この段階での正答率は60~70%が目標。そして、考え方の流れを作ってあげれば「%増」の文章題でも半数以上が正答するようになるはずです。ところが、釧路では、この「%増」の問題を扱ったという話は、生徒からは一度も聞いたことがありません。やっていないのか、生徒がグダグダした状態で勉強していて、記憶に残っていないのか、そのどちらかの様です。


 でも、ここの内容は普通にパートの人たちでも計算している訳ですし、もしも、出来ないとなると「パートも出来ない」ということにもなりかねません。前に書いた、全国学力テストの「%の問題」の正答率が36.2%だった頃の子供達は、高校卒業後の就職状況も「正規雇用:非正規雇用(パート・アルバイトなど):未就職(パート・アルバイトもやっていない)」の比率が3:3:4でした。  ですから、個人的には、就職に関して言うと、計算以上に、この%の内容が非常に重要な所だと思っています。

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