こちらは、難しい問題に挑戦しようと内容が近いと思ってください。
よく「本物を見せておく」という話が出てきます。例えば、野球などで、実際にプロの選手のプレーを見せておくと、子供さん自身が「僕もああいうふうになりたいな」と思って、そのときは出来なくても、一度見て内容が分かっていれば、出来るようになるため一所懸命練習するようになります。
逆に、そういうものを知らない子は「周りの子供たちの中では上手い方だ」と思いこんで、それで満足してしまうということが起きると思います。
勉強でも同じこと。その場で出来なくても、上のレベルの内容を見ておく、というのは、とても大切なことなんですね。
お母さんや一部の先生方の中には(特に算数だと)「出来ない」という事を極端に気にして、どうしてもレベルの低いところばかりを何度も繰り返し教え込もうとしてしまいがちですが、実は、教えたものがすべて出来なければならないという感覚がかえって「学力上昇の妨げ」になってしまうんです。
実は、成績を伸ばしている先生は、子供を問題に集中させながら徐々にステップアップした後、最後に「ここまでは出来ないかもしれないな」と思われるような、子供の上限より一歩上のレベルの問題までやらせているんですね。もちろん、この問題は出来なくても可。出来ることより、「まだ、上がある」ということを見せ、「一歩上のレベルを考えさせる」ことで、脳味噌の活性化を図ると思ってください。
そういう「見せるだけでいい」「ちょっと考えさせるだけでいい」という問題を用意しておくのも大切なこと。
これを応用すると、大人の目から見て、「こんな問題も出来ないの?」と思うようなレベルで子供さんがつまずいていたとしても、初めのうちは、そのレベルの問題を「捨てる問題(答えは出せなくてもいいから、ただ、考えさせるだけの問題)」として扱っておいて、そこまでのステップを何度も繰り返し練習させるという方法を取ります。すると、いつの間にか、子供さんのレベルがそこに追いついて来るんですね。
ですから、学校の先生なら、レベルの低い子にとらわれず、出来れば「中の上」くらいのレベルの子を中心に勉強を進めてあげるように心がけることが大切。出来ない子を中心にして、そういう子が出来るまでレベルの低いところで足踏みしてしまうと「出来なければいつまでも先生が待っていてくれる」という感覚が子供に身についてしまい、子供たちが真剣に勉強に取り組もうとしなくなってしまうおそれがある思っていてください。
また、大人になってからでも、本物を知らず「これで自分は出来る方だ」と勘違いしてしまっている人も見かけることがあります。子供のうちは、狭い範囲のうちで通用することですから、ある程度対応はできますが、大人になると、全国レベルで考えることになりますから、その感覚は通用しないと思っておいた方がいいでしょう。
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