一般的には「子供の学力を上げていこう」ということになると「分かるまで、出来るまで」ということで、子供さんが「できない」ということを極端に避けようとする傾向になるのではないかと思います。
ところが「全部わかる、全部できる」にこだわりすぎると、逆、子供さんの学力向上の妨げになるんですね。
実は、実際に学力を伸ばしている先生は「子供たちの能力の一段階上」の内容まで、ちゃんと見せているんです。もちろん、その問題は、その場で出来なくても構いません。
では、なぜ、そのような問題を見せるか、というと、理由の一つ目は「上のレベルを認識させるため」。まだ上のレベルがあるということを実感させておかないと、子供たちがそこで満足してしまうからなんです。
理由の2つ目は「難しめの問題を考えさせて、頭の働きをよくする」ということ。
理由の3つ目は「一度見て知っておくと、頭のレベルがそこに追いついたときに、抵抗なく、その問題に取り組めるから」。
中学校の1年生段階で、特に、私立中学受験などの経験が無い場合、小学校の基本レベルが出来ている程度では、正直、たかが知れているんです。ですから、中学校1年生の段階から、ある程度のレベルのものを見せておくことによって、学年が進んでいき、学力レベルが徐々に向上してくると、中1のときに見て「難しい」と思っていたものが、意外と楽に解けるようになっていたりするんですね。そうなったときの対応力を、より高めておこうという狙いがあるんです。
先生の中には、生徒から「分からない」と言われるのが「怖い」と感じている人もいて、そういう先生は、子供のできるレベルの低いものばかり扱うようになってしまうのですが、それでは、結局、子供たちの学力が上がって行かないんですね。
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