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「理解」を「知識」にすり替える

 子供が学力を上げていく過程で大切になるのが、社会科で出てくる用語や英単語などの「知識」とそれをしっかり使いこなしていくための「理解力」なのですが、いざ教えてみると、子供はなかなか理解できず、テスト前に無理矢理覚え込んで対応しようとする子も多いと思います。

 また、「数学は暗記科目だ」などと言う人もいるようだが、これは、この「本来理解して進めるべき内容」を「知識に置き換える」という方法を採っているからなんですね。


 それで、特に小学校の算数の基本内容というのは、習ったときには「理解するだけの知識や経験がない」という子もいますので、一クラス、全員がすぐに理解できるか、というとそうではありません。

 そこで実際に行う方法が「理解を知識にすり替える」という方法。具体的に言うと、聞いたことがあると思うのですが、算数で「速さ」を習ったときに「は・じ・き」の図を書いて計算方法を覚えたりするもの。本来、速さと言うのは「単位時間あたりの平均距離」ということなのですが、すぐに頭に入らない場合、このような「図で覚える」という方法を取るんですね。

 一部の方はこれを称して「詰め込み教育」などと批判する向きもありますが、長い目で見ると、たとえ習った時点で理解できなかったとしても「その内容を覚えている子」と「そうでない子」の差は、後に明らかになります。なぜかと言うと、無理矢理覚えた内容でも使っているうちに内容が理解出来てくることが多いからなんですね。

 お父さん・お母さんでも「小学校のときは、なんでこんな問題で悩んでいたんだろう」と思ったりする事もあると思いますが、これは、時間が経つにつれ、理解するのに十分な知識や思考力が次第に養われてきて、子供のときに分からなかった事が、ある程度の年齢に達すると理解できるようになるという事なんです。


 また、もう一つ例を挙げておくと、中学校の数学の「平方根」の計算あたりがこれにあたります。ルートの意味が分からなくても、とりあえず計算できるようにしておくと、後にその意味を理解してくるようになるんですね。しかし、計算が出来るようになっていなければ、その計算のしくみと本質的な意味合いとの接点を探ることが出来ず、結局理解出来なくなってしまうんです。

 だから、「現時点で理解できないものでも、とりあえず覚えておく」ということは非常に大切な事なんです。


 ある程度、教育熱心な学力の高めのお父さんやお母さんだと「とにかく理解が大事」「俺が教えれば出来るようになる」と自慢して言ってくるケースもあるのですが、理解できる知識や経験のある子に教えるならば、それは誰でもできます。問題なのは、そういうところまで達していない子なんです。

 そして、子供さんがそこまで達していないのに教えると「分からない」「できない」となり、お父さん、お母さんも教えるのをギブアップしてしまうんですね。

 そういうときには、内容を理解できるような知識や経験を積ませることが大事と考えてください。

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