<学校の情報公開で、親の意識改善>
これは、平成12年の話なのだが、大阪のある中学校では、生徒の荒れた状態を改善するためには地域の理解が必要と「学校だより」で、前月の生徒の問題行動を親に報告。その内容は、 4日 廊下の窓ガラスが割られる 10日 学校外で生徒の喫煙の通報がある。 14日 2年男子、暴力を振るう。 など。 また、「学校公開デー」などを設けて、保護者が校内を自由に見学できるようにした。 その他にも、アンケートをとり、6人に1人の割合でイジメが行われ、そのうちの半数のイジメが継続中であったり、先生に氷の入った水をかけたり、備品に放火があったりというような事も、「学校だより」に書き続けたそうだ。
これに対し、「なぜ、もっと強く指導しないのか」などの声も保護者からは寄せられたが「無理に止めようとすると喧嘩になるし、たたけば体罰とされる」と、そういった不満や苦情に陳謝しながらも、「家庭でのしつけ」を要請し続けた。その結果、学校内は、そのすべてが解決された訳ではないとしながらも、地域の関係団体を組織してもらったりしていく中で、徐々に改善されていった。
もちろん、これは、荒れた学校の例だが、ごく普通の状態の学校であったとしても、親は基本的に学校の様子が分かっていない。学級通信でも、ありふれた連絡事項が主で、学校の様子を伝えるものになっているところは少ないようだ。
そして、学校の状況が分からなければ、親も行動しづらい。例に挙げた学校の保護者でも「ここまで酷いとは思わなかった」という意見が出ているくらい現状を把握出来ていなく、そのため、なかなか腰を上げようとしなかったというのが、現実なのだ。そして、いろいろな先生の話を聞いていて思うことは、「親が子供さんの現状を分かってくれ、そこから動き出した」ということ。
別に悪い例だけ挙げよと言うのではない。頑張っている子がいたら、それを報告してもよい。こういった良いことでも悪いことでも、それを現実として、しっかり伝える事なのだ。 いろいろな人が「学校はこうすべきだ」的な意見を述べているが、それを聞くたび、もっと「子供さんの実情」を知っていれば、こんな発想は出てこないのにと思うことしかり。しかし、学校側がそれを伝えているかと言うことには「疑問符」がつくのだ。
とにかく、親の立場として「学校の事を知りたい」、先生の立場として「学校の事を知ってもらいたい」と言うことになるのなら、学校側がその情報をキチンと伝えなくてはならないだろう。現状を伝え、親が理解出来て初めて「服装の乱れや遅刻は、学校だけの責任ですか?」という問いかけにも説得力が出るのだろう。 子供たちの、学校での生の情報を、出来るだけ多く親に伝えるべきだと思う。
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