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「塾の功罪」と「地域の意識」

<保護者の意識を変えたのは学習塾>

 これ、かなり昔の話。以前は、釧路湖陵の理数科というと、帯広から受験した子もいたんだそうです。帯広の高校に行くより、釧路の湖陵の方がいい、という話だったんですね。オホーツク学区では、以前は網走南が丘が地域の一番の高校で、北見の方では、北斗よりも柏陽の方が上だった時期もあって、高校の序列が混沌としていたときもあったわけです。  ところが、これが逆転するんですよ。今は、帯広の方が上。網走より北見北斗の方が上だったりします。何でこんなことが起きたか、という話です。

 よく、漁師町と農家町では、農家の方が勉強に対してしっかりした意識を持っているなんていう話をする人がいますが、そんなバカげた話はありません。だったら、最初から、帯広や北見の方が学力が高かったはずなんです。この転機はいつか、という話なんですが、実は、帯広・北見は学習塾が出来て、地域の意識が変わったんです。

 どういうことかというと、当時の塾は「入塾制限」がありました。通知表結果が低く集団の授業についていけない子、宿題をきちんとやらない子、授業中の姿勢が悪い子、これ、すべて「お断り」だったんです。結果、親の方の意識として「あんた、これだったら、塾にすら行けないよ」。これが大きかった。すなわち、親の方が「子供の勉強について、再教育させられた」んです。塾に行こうと思ったら、子供がきちんと勉強できる状態でなければならなかったんですね。だから、全体的に「家庭でもきちんとした勉強についての約束などを行っていった」わけです。

 じゃあ、釧路はどうだったか。残念な事に入塾基準のない塾が地域の1位でした。宿題もありませんでした。結果、中学校に入っても満足に勉強せず「入試が近くなったら、塾に行かせればいいや」という感覚の親を育ててしまったんです。子供も子供で、宿題も満足に出ないわけですから、塾に行ってボーっと話を聞いてきて、それでお終い。それが勉強。そういう感覚にしてしまったんです。  塾としては「誰でも分け隔てなく入塾させます」と言うと、一見、良さそうじゃないですか。ところが「親の再教育」という視点で見ると、これが「悪」だったんです。

 結果、ここから逆転現象が始まります。釧路は帯広にどんどん追い上げられ、蓋を開けてみれば、今年ついに、帯広南商業のボーダーより、北陽のボーダーの方が低くなってしまった。これじゃ、どうしようもないでしょ。北陽に受かっても、帯広で市内に通おうと思ったら、工業か農業に行くしかない、という子供達がいる、ということです。

 まだ札幌や道外では、私立中学受験などがあって、きちんと勉強しなければならない、という意識を持っている人が結構多い。それが釧路ではまだまだ。宿題すら満足にやらない子がたくさんいます。  ですから、親の「子供の勉強についての再教育」をどのように行っていくか、ということが喫緊の課題なんです。「早寝・早起き・朝ご飯」程度じゃ、解決しないんですよ。

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