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「わかる」と「できる」 どちらが大事?

<どのような対応をするか>

 釧路では「基礎学力」に関する認識が高まり、市議会でもたびたび取り上げられるようになりました。実に嬉しいことだと思います。ただ、いかんせん、釧路の場合、まだまだ基本がしっかり身についているという状態ではなく、全国・全道平均に遅れを取っているというのが実状ですね。また、学力の2極化というのも、まだ解消できていないように思います。  そこで、ここでは、その解決の一つの目安として、「わかる」と「できる」の扱いについてお話しようと思います。


 実は、本当のプロ意識のある人は「わかるが大事」なんていう事は言わないんです。「わかる」も「できる」もどちらも大事というスタンスを取るんですね。さらに言うと、「わかる子には極力わかる様にし、どうしてもわからないという子には、最低限、何らかの形で出来るようにしておこう」という取り組み方になるんです。


 例を「時間・速さ・距離」にとって、もう少し具体的にお話しすると、「速さ」の概念というのは、時速であれば「1時間あたりの進む距離」という意味で、いわゆる「1時間という単位にどれだけ進むか〜単位量あたりの大きさ」の内容なんです。そして、こういった概念を理解して勉強できる子には、その概念で勉強させるようにします。  ところが、この「単位量あたりの大きさ」という感覚は、理解力が追い付いてこない子供達に取ってはちょっと難しい。そこで、この概念を「理解出来ない子に向けにしてアレンジしたもの」が、皆さんご存じの、あの円を書いて中を線で区切る「は・じ・き」なんです。  すなわち、「理解出来る子は理解したまま進められるように」、そして「理解できない子も、とりあえず計算して答えを出すことが出来るようにしておく方法」として「は・じ・き」がある、と思ってください。


 なぜ、このような方法が採られるかというと、 1 「わかるが大事」とわかることだけを求めていった場合  結局、きちんと物事を進められるのは「わかる子だけ」。わかならない子は、どのみちやっても出来ないと諦めてしまうため、この後、一生身につかずに終わる可能性が高くなる、ということになります。 2 「どちらも大事」と進めて行った場合  わかる子は当然出来るようになっていきますし、わからなかった子も、とりあえず答えは出せますから問題に取り組んで行くことが可能です。そして、学齢が進んでいくと、実際に問題を解いていくうちに理解が追いついてくるようになっていきます。

 ですから、後々の事を考えた場合、どちらが得か、というと、全体的な学力レベルを上げるためには「とりあえず、わからなくても出来るようにしておく」という事が大切なんです。

 もちろん、子供達の感覚で考えても、小学校のときに習った内容など忘れている場合が多く、例えば、かけ算の九九で言えば、大抵のお父さん・お母さんは「私は、習ってすぐスラスラ言えるようになった」と思っているのではないかと思うのですが、実際は、かけ算の九九は半年近くかけて練習しているわけで、でも、そういう事は忘れて「かけ算の九九を覚えるくらいはすぐだった」と思いこんでいる状況なんです。そして、それがある意味「勉強に対する自信」につながっていっているんですね。


 釧路の場合、中3の意識調査で「自分に自信がない」と答える子の割合が高くなっているのは、結局「わかるが大事」と、釧路市教育推進基本計画の中の数値目標が、授業中の「わかりやすさ」を中心に追求するように設定されている事が問題なんです。本当に子供達を救うためには「わからなかったとしても、とりあえずは出来る」というところまで追求しなければなりません。そして、それが顕れるのは「学力テストの点数」の方なんです。  正直に言うと「わかるが大事」というのは、青臭い大学生レベルのいう言葉。そして、実際に授業を受け持った事のない大学教授が青臭い理念で言う言葉なんです。一部の本州方面の教育大では、この「わかるだけで進められる学力の高めの子供達だけ」を集めておいて、「わかるが大事という授業の進め方でもでうまく行く」と勘違いし、それを全国で行え、と言い出す。こんな事を真に受けていたのでは、普通の子供達は救われません。  「わかる」も大事、「できる」も大事。この両方にきちんと取り組んで欲しいと思います。

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